小型成長株投資が面白い時代に

 21世紀になり、第4次産業革命といわれる経済の構造変化が急速に進んでいます。これにともない、東証グロース(旧東証マザーズ)市場に上場する小型株から高成長企業がたくさん現れる時代になると思います。

 古いビジネスモデルにとらわれた大企業が衰退する中、創業10~20年で30~40代の若い創業社長が率いるユニ-クな企業が、急成長する時代になっています。

 日本には、残念ながら米国のGAFAM(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル・マイクロソフト)のような世界のITインフラを支配する巨大成長企業は出てきていません。それでも、ユニークなサービスで成長するニッチ企業はたくさん出ています。

 これから、世界中でAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット化)、5G(第5世代移動体通信)、サービスロボットなどの活用が加速するにつれて、日本でも業歴の若いベンチャー企業からたくさんの成長企業が出ると思います。

 このような大きな変化をもたらしている根幹にあるのが、産業構造の変化です。製造業が衰退し、IT産業が飛躍する局面となりつつあります。

 20世紀には、製造業で世界トップに立つことが成長企業となる条件でした。なぜならば、20世紀は、「モノ」の豊かさを求めて人類が努力した時代だったからです。生活を豊かにするモノを開発し、いちはやく安価に大量生産する技術を確立した製造業が、成長した時代でした。

 ところが、21世紀に入り状況は変わりました。製造業で稼ぐのが難しい時代になりました。モノは人気が出て一時的に不足してもすぐ大量供給されて、価格が急落するようになりました。製造業では、韓国、台湾、中国および日本企業が、利益度外視の過当競争を繰り返すようになってしまいました。

 このように、モノが余る時代となる中、恒常的に不足しているのが良質なサービスです。医療や介護、保育、防犯、警備、教育、宅配ドライバー、熟練建設工など、良質なサービスが不足している分野はたくさんあります。サービスは、モノのように工場で大量生産することができないので、人手不足が続く中、良質なサービスは恒常的に不足するようになりました。

 そこで、良質なサービスを安価に大量供給する仕組みを作った企業が、21世紀の高成長企業になります。人間にしかできなかった良質なサービスをITで安価に大量供給する仕組みを作った企業が高成長企業となりました。

 Eコマース(電子商取引)は、リアル店舗を作るコストを省き、ネットを通じて、小売りサービスの量産を可能にしたものです。小売りだけでなく、金融や医療サービス、人材あっせん、コンサルティング、教育、測量、旅行手配、予約サービスなどさまざまな分野で、リアルをネットが代替する時代となりつつあります。

 今後、AIやIoT、5G、ロボット、その応用分野(自動運転やフィンテックなど)から、21世紀の成長企業が多数出てくるでしょう。