2016~2020年はグロース相場、2021年からバリュー相場に

 株式市場の物色動向として、バリュー相場とグロース相場は過去何度も入れ替わってきました。それが、時に極端な二極化になることもあります。ただ、極端なグロース相場になると、その後はバリュー相場に転換しやすく、極端なバリュー相場の後は、グロース相場に転換しやすいと言えます。

 この傾向を、2010年以降のバリュー指数とグロース指数の推移で見てみましょう。

TOPIXバリュー指数とTOPIXグロース指数の月次推移:2010年1月~2022年8月(24日)

出所:QUICKより作成。2010年1月末の値を100として指数化

 上のグラフをご覧いただくと分かる通り、2010年以降の流れは以下の通りでした。

【1】2010~2015年:特色なし
【2】2016~2020年:グロース相場
【3】2021~2022年8月:バリュー相場

 その時々の経済環境によって、グロースが優位になったり、バリューが優位になったり流れが変わります。1980年以降の日本株で見ると、一般的には、以下の関係が成り立ちます。

◆金利・インフレ率が上昇する局面 → バリュー相場になりやすい
◆金利・インフレ率が低下する局面 → グロース相場になりやすい

 2016年から2020年にかけて、日本でも世界でも、金利低下・インフレ率低下が進む中、IT(情報技術)を使った経済構造の転換が急速に進みました。特に2020年は新型コロナウイルス禍で外出が難しくなる中、リモート会議やリモートワークが急速に普及したため、グロース株買い・バリュー株売りの極端な二極化が進みました。

 ところが、2021年は一転してバリュー相場となりました。世界的に金利上昇・インフレ率の上昇が進む中、資源関連・素材・金融株などのバリュー株が大きく上昇しました。2020年に上昇したグロース株は、金利上昇を嫌気して売られました。その流れが、2022年も続いています。

 次にいつグロース優位に転換するか、まだ分かりません。ただ、原油・穀物・貴金属の先物が下落し、世界的なインフレがそろそろ低下に向かうとの向きもあり、グロース相場への転換もあり得るとの見方もあります。大型グロース株だけでなく、東証グロース市場(旧東証マザーズ市場)から小型グロース株を発掘して投資するのも、面白いと思います。