今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 インフレ圧力は強いながら、鈍化し始めている証拠が出てきています。ただ、3カ月後に中間選挙を控える中、完全に強気相場に転じるのは難しく、もみあいが基本となりそうです。目先は3万4,000ドル水準からは上値が重くなりそうです。

 今週は、小売決算や小売売上高が注目となります。ディスカウント小売の大手はコストの上昇や在庫の積みあがりから、すでに見通しを引き下げており、コスト上昇やサプライチェーン問題が根強く小売全体の逆風となっています。今週は小売決算やFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録の公開に注目となります。

先週の動き

 先週の予測では、インフレ鈍化の兆しなく、利上げ打ち止めは程遠いとの見方が多く、景気後退懸念とインフレとの綱引きとなり、もみあいを想定しました。

 しかし、注目すべきとした7月消費者物価指数と7月生産者物価指数の結果が市場予想と逆となりました。

 10日(水)の7月消費者物価指数は、予想を下回る伸びとなり、11日(木)の7月生産者物価指数は、予想に反して低下し、さらに週末12日(金)の7月輸入物価指数の低下を受け、FRBの利上げペースの緩まる期待やインフレピークアウト期待から3指標の大幅上昇が続きました。

 NYダウは10日+535ドル、11日+27ドル、12日+424ドルと3日間で1,000ドル近い上昇となりました。週末は3万3,761ドルの高値引けでした。

今週の指標:ドル/円

 インフレ鈍化の経済指標を受けて、インフレピークアウトへの思惑からFRBによる大幅追加利上げは後退しました。そうなると他の主要中央銀行は金融引き締めのペースを緩める可能性があり、そうなると米国の金融引き締めの度合いは相対的に高まることになります。

 FRBの大幅利上げ観測の後退により、目先的にはドル売り・円買いが優勢となりそうです。インフレ鈍化のデータは十分そろっているといえないので、ドルは下がらないためリスク選好的な円売りが増える可能性もあります。

先週の動き

 先週のドル/円相場は、FRB当局者が金融引き締めに対する方向を表明したものの、7月消費者物価指数と7月生産者物価指数が結果的にインフレ鈍化の兆候を示唆したことで、9月のFOMCでの0.75ポイントの利上げ観測が後退し、週始めに135.58円まで買われたものの、ドル買い・円売りは縮小し週末は133.50円で取引を終えました。