「この不況はまだ始まったばかりだ」というピーター・シフの相場観

 先週、著名投資家ピーター・シフがYouTubeで相場観を語っていたので、それを抜粋して以下に紹介したい。

Q:前回、あなたはアメリカ経済について非常に醜い見通しを示した。この数ヶ月で何か変化があったか?

A:いや、むしろ光景はより醜くなっている。

Q:これから何が起こるのか?

A:今、私たちは景気後退期にあると思うが、これは私が予想していたことだった。経済が弱くなるにつれてインフレが強くなった。この不況はまだ始まったばかりだと思う。インフレに苦しむ家庭は政府に苦しめられている。インフレは税金のようなもので、政府の赤字財政を支えるものだ。

 政府はお金を使う。税金を十分に集められないので、赤字を出すしかない。連邦準備銀行はその赤字をマネタイゼーションし、紙幣を印刷する。量的緩和と呼ばれているが、これはインフレだ。政府はますます大きくなり、アメリカ中の家庭が物価上昇を通じてその負担を負わなければならなくなる。

 過去40年、あるいはそれ以上の期間を振り返ってみると、この10年間は、90年代、特に80年代、2000年代と比較してみると金利が信じられないほど低い時期であり、とても興味深かった。金利は政府による価格操作ではなく、自由市場を反映するものであるべきで、人為的に金利を抑制することによって、連邦準備銀行はこの経済をメチャクチャにした。

 多くのことが行われたが、それは決して行われるべきではなかった。多くの誤りがあった。不正な投資、資源の誤った配分、そして今、私たちはこれらの誤りを解消するために重い代償を支払わなければならない。

 そのため、この不況は非常に深刻なものになるだろう。だから、今回の金融危機は2008年の金融危機よりも深刻なものになる。政府や連邦議会がそれを防ごうとすることは、事態をさらに悪化させるだけだ。今、人々は金利のことで大騒ぎしている。

Q:私の友人がビジネスをしているのですが、彼のビジネスローンの金利が今上がっている。しかし、80年代初頭までさかのぼると、このようなインフレが起こったのは、カーターのインフレを抑制するために必要な金利だった。今、私たちはバイデンのインフレとカーターのインフレを比較している。この金利はずいぶん違っている。今見ているものは1980年代に要したものには到底及ばない。これはどれくらい悪化すると思うか?今週、FF金利は2.25%まで引き上げられると言われている。

A:インフレ率よりはるかに低い金利は、インフレを促進させる。しかし、カーター政権下のインフレはカーターから始まったのではないことを思い出して欲しい。バイデン政権下のインフレも同じだ。しかしバイデンの政策によってさらに悪化している。

 連邦準備制度は、間違えを起こしてから今でも、失敗した政策を続けている。しかし、もう一つの重要な違いは、カーター時代に戻って、インフレ率の数字を見たときだ。CPIは全く異なるものだった。もし1970年のCPIを現在も使っているとしたら、インフレ率は年率9%ではなく、20%に近くなっているはずだ。つまり、当時よりも悪化している。

 しかし、金利はまだはるかに低い。このため、インフレの問題がどれほど大きくなるかを知ることができる。さらに、現在の財政赤字は当時のものを凌駕している。連邦準備制度がこの10年間に創出する金額は、70年代に創出された金額よりもはるかに多いので、スタグフレーションはさらに悪化する。私はこれをインフレ恐慌と呼んでいる。私たちはそのような時代に突入しているのだ。

出所:「物価高で大きな政府の代償を払うアメリカ人」 ピーター・シフのインタビュー

 以上がピーター・シフの相場観だ。