先週の日経平均は2万7,801円で引け

 7月最終週となった先週の株式市場ですが、週末29日(金)の日経平均株価終値は2万7,801円となりました。

 前週末終値(2万7,914円)比では113円安、週足ベースでも4週ぶりに下落へ転じましたが、週間の値動き自体は比較的堅調でした。

図1 日経平均(日足)の動き (2022年7月29日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図1で具体的な値動きを振り返ると、「前半が下落・後半に持ち直す」という展開でした。前半の下げ局面では200日移動平均線がサポートとなり、「リターン・ムーブ」のような格好で週末にかけて反発していきました。また、移動平均線といえば、25日移動平均線が75日移動平均線を上抜ける「ゴールデン・クロス」も出現しています。

 その一方で、2万8,000円台の「節目」が上値の抵抗となっているほか、週末にかけての2日間のローソク足は陰線が続いており、堅調だった割に、上値への意欲についてはイマイチ盛り上がらなかった印象です。

図2 「節目」超えの主なパターン

出所:資料を元に筆者作成

 つまり、先週の日経平均の動きは、200日移動平均線という節目に対しては、「リターン・ムーブ」で上昇に勢いの出やすいパターンだったのですが、2万8,000円台という節目に対しては抵抗として機能しました。

 もちろん、上の図2のように、足元で抵抗となっていたとしても、何度かトライして、もみ合いながら突破していくようなパターンとなれば、一段高が期待できます。

 そして、上値への意欲といえば、先週の米国株市場は日本株よりも強い動きを見せています。

図3 米NYダウ(日足)とMACD (2022年7月29日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週末29日(金)のNYダウ(ダウ工業株30種平均)終値は3万2,845ドルでした。上の図3を見ても分かる通り、週末にかけての株価の伸びが目立っていて、3万3,000ドル台も射程圏内に捉えています。

 チャートを過去にさかのぼると、この3万3,000ドル付近でサポートや抵抗となっており、大きな節目として意識されやすい株価水準と考えられます。したがって、目先のNYダウは3万3,000ドル台の攻防が焦点になります。

 また、先週末にかけて見せた米国株上昇の背景には、最大の注目イベントだったFOMC(米連邦公開市場委員会)を通過したことに伴い、市場のムードが景気悪化への警戒よりも金融引き締め緩和への期待の方が優勢となったことや、GAFAM銘柄といった大手IT企業の決算が発表され、おおむね「思ったよりも悪くない」と受け止められたこと、さらに、長期金利の低下や資源価格の下落傾向によってインフレのピークアウト感が意識されたことなどが挙げられます。

 先週の日本株もこうした米国株市場の流れを受けたわけですが、株価の伸びの大きさだけで比較すると、日本株は米国株の動きに「そこそこ」ついていったものの、その勢いには乗り切れなかったわけです。

 金利を引き上げたFOMC後の為替市場で円高が進んだことや、足元で急拡大している新型コロナウイルス感染者の増加などが影響しているかもしれませんが、とりわけ、今までは円安要因となっていた日米の金利差拡大が、現在はそうではなくなってきているという点に留意する必要があります。

 続いて、日米の株価水準についても見ていきます。

図4 日経平均(日足)のフィボナッチ・リトレースメント(2022年7月29日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 日経平均における、昨年9月の高値から今年3月の安値の下げ幅に対する戻りを表したものが上の図4にあるフィボナッチ・リトレースメントです。

 足元の日経平均は2万8,000円台の節目をうかがっている状況については先ほども述べた通りですが、フィボナッチ・リトレースメントで捉えた現在の日経平均は「50%戻し(半値戻し)」である2万7,738円を超えてきたところに位置しています。

 今後も戻り基調が続くのであれば、その先にある「61.8%戻し(2万8,460円)」を試すことになりますが、この61.8%戻しは、6月9日と3月25日の直近の戻り高値あたりの株価水準ですので、目先の上値の目安として強く意識されそうです。

 このままさらに値を伸ばして「76.4%戻し(2万9,352円)」に到達すると、1月5日の今年の高値(2万9,388円)近くに迫ることになるため、「日経平均は3月9日を底にしてかなり株価を戻してきた」とも言えます。