イオンは2月・8月の優待人気トップ

 イオンは「株主優待」人気銘柄として有名です。楽天証券「株主優待検索」で長年、2月・8月の優待銘柄で人気トップ【注】の座を維持しています。優待内容は、以下からご覧いただけます。
「イオンの株主優待内容:買物返金カード等」

【注】2月・8月優待で人気トップ
2月・8月に株主優待を得る権利が確定する銘柄は166あります。楽天証券のお客さまで保有している株主の数が多いほど「人気が高い」と判断し、保有株主数の上位銘柄をランキングしています。2月・8月優待とも、人気トップはイオン、第2位はビックカメラ(3048)、第3位は吉野家HD(9861)です(7月10日時点)。

 最近、「株主平等の原則」を意識して、優待を廃止する企業が増えていますが、イオンの優待は廃止されるリスクが低いと私は考えています。

 先日、株主優待で人気のオリックス(8591)が、2年後に優待を廃止すると発表して驚かれました。2024年3月期まで株主優待を続けるが、それを最後として優待を廃止するとしています。オリックスのように自社製品やサービスと無関係の優待品を出しているケースでは、今後、優待廃止が増える可能性もあります。

 イオンの優待は、自社店舗の利用拡大を促進する内容なので、株主平等の原則で問題となることはなく、今後とも長年にわたり、優待制度が維持・活用されていくと考えられます。

イオングループ各社の投資魅力は、いずれも高いと判断

 イオンは、中核事業を担う子会社を多数上場させています。典型的な、親子上場企業です。イオンの成長を担う上場子会社は、いずれも、投資価値が高いと判断しています。

【1】イオンフィナンシャルサービス(8570)

 イオングループの金融事業を担います。前期(2022年2月期)の経常利益は599億円、今期(2023年2月期)の経常利益(会社予想)は550億円と、最高益だった3期前(2019年3月期・この時は3月期決算企業)の経常利益701億円から大きく減少したままです。

 ただし、アジアでの貸倒れは減少しており、コロナが完全に収束すれば、再び最高益を更新していくと予想しています。

【2】イオンモール(8905)

 イオングループのディベロッパー(不動産)事業を担います。前期(2022年2月期)の経常利益は325億円、今期(2023年2月期)の経常利益(会社予想)は455億円と、コロナ前の2020年2月期にあげた最高益561億円に届きません。ただし、コロナが完全に収束すれば、再び最高益を更新していくと予想しています。

【3】ウエルシアHD(3141)

 イオングループのドラッグ・ファーマシー事業を担います。前期(2022年2月期)の経常利益は前期比3.9%増の475億円と24期連続で最高益を更新しました。今期(2023年2月期)の経常利益(会社予想)は前期比8.4%増の516億円と25期連続の最高益を見込みます。

 調剤部門の売上成長が続いています。2018年2月期1,148億円→2019年2月期1,298億円→2020年2月期1,554億円→2021年2月期1,741億円→2022年2月期1,992億円と成長をけん引しています。調剤薬局はかつて門前薬局(大病院のすぐ近くにある調剤薬局)優位が続きましたが、その傾向が変わってきています。

 ウエルシアは、門前でなくても調剤部門の収益が伸びるようになりました。患者が病院の近くではなく、自宅の近くの調剤薬局を利用するようになったためです。

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