番外編:「不安」にまかせて取引をする など

 ここまで、コモディティ投資における「悪手」3選とした、(1)経済指標発表時に純金積立を開始する、(2)長期投資に「先物型」間接商品を用いる、(3)とりあえず「コモディティ」に投資する、について述べました。

 以下、簡単に番外編を述べます。コモディティ投資に限らず、他の投資においても有用であると考えます。

(1)過去の成功にこだわること
(2)材料を点で見ること
(3)「不安」にまかせて取引をすること
(4)有名人のいいなりになること

 今、「VUCA(ブーカ)」の時代といわれています。「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態」の意味で、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった言葉です。

「わからない」ことが多い時代だからこそ、過去から離れて今を凝視し、材料を俯瞰(ふかん)し、できるだけ冷静に、自分の思考を探し出すことによって、健全な自己の意志に基づいた投資を実現したり、生きるスキルをアップさせたりできると、考えます。

「インフレ投資」の考え方

「投資家は生活防衛のためにどう投資を生かしたらよいか?」という問いについて、筆者は以下のように考えています。

考え方

「防衛」を、危機が発生している時に行う措置(平時では行わない措置)と考え、「防衛のための投資」を、危機が発生しているときに行う「一時的な措置」、と考える。

一時的な投資

 ここでは「危機発生時に限り行う、金額と時間に制限を設けて行う投資」とする。金額に制限を設けることで、損が発生している時に、取り返そうとして、投資額を増やすことを防ぐことができる。時間に制限を設けることで、際限なく利益を膨らませようとする気持ちを抑えることができる。(危機終息=時限到来)

投資対象

 投資対象として着目するのは、危機の発生源そのもの。危機の発生源が「インフレ」であれば、インフレそのものを一時的に利用する。コモディティ市場全般を指数化した原資産に連想することを目指す投資信託やETF、加えて「円安」も危機の発生源だと考える場合は、円安をも利用し、円換算ベースのコモディティ価格に連動を目指す投資信託やETFなどを候補とする。

心構え

 インフレで利益をあげる(社会不安を利用して利益をあげる)ことに疑問を感じる、コモディティに投資をしたことがなく、関連商品への投資に抵抗感がある方も一定数おられるが、こうした機会だからこそ、信頼できる情報源や、身近な信頼できる専門家のアドバイスを、熟考したい。

まとめ

「防衛」を「一時的な措置」ととらえ、金額と時間に制限を設け、危機の発生源自体を投資対象とする。これまで気に留めなかったインフレ関連銘柄にも、これを機会に投資対象候補としてみる。これらを実践することが、危機時の、生活防衛のための投資の生かし方であると、考える。