今後、投資してみたい金融商品・国(地域)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲

 今回は、毎月実施している質問「今後投資してみたい金融商品」で、「外国株式」と「特になし」を選択した人の割合に注目します。

 質問「今後、投資してみたい金融商品」の選択肢は、国内株式、外国株式、投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)、国内債券、海外債券、FX(外国為替証拠金取引)、金やプラチナ地金、原油先物、その他の商品先物、金先物取引、特になしの13個です。(複数選択可)

図:「外国株式」「特になし」を選択した人の割合 ※左右の軸の比率は同一でない

出所:楽天DIのデータをもとに筆者作成

 2022年5月の調査では、「今後、投資してみたい金融商品」で「外国株式」を選択した人の割合は44.09%、「特になし」は9.65%でした。上図のとおり、2020年1月以降、片方が目立った上昇を演じるとき、もう片方は目立った下落を演じています。

 これらにはどのような関係があるのでしょうか。第三者的な要素(これら二つ以外の要素)がきっかけで上図のような値動きになっているのか、それとも、どちらかの値動きがどちらかの値動きのきっかけになっている(二つの間に因果関係あり)のか、という問いです。

 筆者はこの問いの答えは、後者だと考えます。この場合は、「外国株式」の変動がきっかけで「特になし」が変動する傾向がある、ということです。

 2020年後半、ジョー・バイデン氏の米大統領選での勝利と、新型コロナのワクチンが完成したことをきっかけに、米国株式市場は大きく上昇して「外国株式」への関心が高まりました。銘柄選択が比較的容易だったこの時、「特になし」の割合は低下しました。

 2021年末、米国株式が最高値を更新していた時も、同じような傾向が見られました。(外国株式上昇・特になし下落)

 逆に、「外国株式」が下落したことがきっかけで、「特になし」が上昇したこともありました。2020年春の新型コロナウイルスがパンデミック化した直後や、2022年2月から続くウクライナ危機の最中です。株式市場が不安定化し、銘柄選択が難しくなっている時です。

 近年の「外国株式」のブームは、社会現象とまでいわれるようになりました。このため、米国株が好調なときは、積極的に投資をするムードが強まり(≒「特になし」低下)、不安定化しているときは、投資を手控えるムードが強まる(≒「特になし」上昇)傾向があります。

 とはいえ、金融商品は「外国株式」だけではありません。通貨やコモディティ(商品)なども、使い方次第では投資のパフォーマンスを向上させてくれる、立派な金融商品です。「外国株式」主流から、少しずつ他の金融商品へのシフトが起きることが望まれます。

 引き続き、「今後投資してみたい金融商品」における「外国株式」「特になし」の動向に、注目していきたいと思います。

表:今後、投資してみたい金融商品 2022年5月調査時点 (複数回答可)

出所:楽天DIのデータより筆者作成

表:今後、投資してみたい国(地域) 2022年5月調査時点 (複数回答可)

出所:楽天DIのデータより筆者作成