積立収益増=価格下落で数量増×最終価格反発

 答えは497万円です。投資金は合計360万円でしたので、資産は1.38倍(38%増)になりました。(手数料考慮後)

図:シミュレーションの結果(1)資産の額と投資金 単位:百万円

出所:筆者作成

 スタートした時の価格が5,000円で、取引を終えた時の価格が約2,100円でしたので、価格は半値以下になりました。一時90%以上、下落する場面もありました。しかしなぜ、38%もの収益を上げることができたのでしょうか。

 積立て投資の損益は、「保有数量×最終価格」で計算します。つまり、いくら最終価格が低くても、保有数量が多ければ利益が出る場合があるのです。では、保有数量はどのような時に増えやすいのでしょうか。

 保有数量は「価格下落時」に増える傾向があります。例えば、1万円を投資するとして、その時の貴金属価格が1万円の場合、購入できる量は1グラムです。5,000円の場合であれば2グラムです。投資金の額が変わらなければ、価格が半値になれば購入できる量は2倍になるのです。

 また、「価格下落」によって効率的に増えた保有数量を、効率よく収益化するためには、取引終了前に価格が一定程度反発することが必要です。先ほどのシミュレーションで、仮に20年目で取引を終えてしまった場合、損をします。損が発生するのは、価格が一定程度反発する前に取引を終えてしまったためです。

 上記より、積立て投資を効率化させるための必須条件は、(1)価格下落・低迷を利用して保有数量を増やすこと(2)取引終了前に価格が一定程度反発すること、と言えます。

図:シミュレーションの結果(2)資産の額と保有数量

出所:筆者作成