短期的なショック安がどこまで進むか、誰にもわからない

 今の世界株安は、循環的な世界景気の悪化リスクを反映したものと判断しています。私は、2022年の世界景気は減速するものの、巡航速度での成長が続くと予想しています。したがって、日本および米国株は買い場と考えています。
 ただし、短期的なショック安はまだ終わっていません。短期的に一段安となるリスクを意識して、時間分散しながら投資していく必要があります。

 それでは、短期的にどれくらい下がるリスクがあるのでしょうか? 未来のことは誰にも分かりませんが、過去の経験則を当てはめて考えることはできます。そこでご覧いただきたいのが、日経平均(指数化)の過去10年の推移です。

日経平均推移:2012年末~2022年5月23日

出所:QUICKより作成、2012年末の値を100として指数化

 日経平均はリーマンショック(2008年)までの下げで、バブルの清算は終わったとみていまみると分かる通り、上昇トレンドの日経平均も、世界的なショックが起こる時には、一時的に高値から2~3割の急落が起こっています。

 現在の世界株安で、日経平均はすでに一時、昨年高値(3万670円)から19%下落しています。今からリーマンショックのような世界景気悪化がないならば、値幅調整はおおむね終わっていると思います。

 ただし、これから世界的な景気後退が起こるリスクもあります。もし、そうなると、日経平均は高値から3割の下落、つまり3万1,500円まで下がることも考えられます。私はそうなる可能性は低いと考えています。それでも、株式投資のリスクとしては常にそれくらいの株安があることは想定して、リスクを管理していくべきです。

 結論として、短期的な株価変動に賭けて過度にリスクを負うことなく、淡々と時間分散しながら割安な日本株を買い増していくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。

▼著者おすすめのバックナンバー

2022年5月23日:日本株が堅調な4つの理由と、2つの警戒シナリオ