最悪シナリオも念頭におきつつ時間分散しながら日本株買い増しの方針継続

 結論はいつも述べていることと変わりません。世界景気は急減速するものの、景気後退まで至らないと私は考えていますので、日本株は良い買い場を迎えていると考えています。

 ただし、世界的な景気後退や金融危機が起こることを警戒する声が出つつあるのは事実です。そうしたリスクを警戒して、日経平均が短期的にさらに売り込まれるリスクは残っているので、時間分散しながら投資していくことが必要と考えています。

 このような時には、積み立てで日経平均インデックスファンドに投資していくか、あるいは、株価割安度が際立っていると私が判断している三菱UFJ FG(8306)などから投資していくのが良いと考えています。

 今、考えているメインシナリオと、警戒されている2つのリスクシナリオは以下の通りです。

【1】メインシナリオ:世界景気は減速しつつも拡大続く

 世界景気は急速に減速するものの、世界景気後退には至らないと予想しています。円安とリオープンの効果で日本の企業業績は今期もプラスになり、日本株はいずれ見直されて上昇すると予想しています。

【2】リスクシナリオ:世界景気後退シナリオ

 このまま、欧州景気・中国景気に続き、米国景気も悪化。日本の景気も腰折れ。そうなると、2022年の後半から2023年にかけて、世界景気は後退期に入ります。
 その場合、資源価格は急落、米国のインフレは鎮静化します。FRB(米連邦準備制度理事会)による引き締めは早めに終了、緩和スタンスに逆戻りします。そうなると、世界景気は2023年から2024年にかけて、再び回復に向かうと予想されます。

【3】最悪シナリオ:世界的に金融危機が起こるシナリオ

 世界的に景気が後退するだけにとどまらず、新興国で金融危機が起こるシナリオです。エジプトやスリランカで起こっている金融危機が世界的に拡大し、リーマンショックに近い状況となるシナリオです。
 景気後退に金融危機が伴うと、回復までにかかる時間がさらに長くなります。2022年後半から2023年にかけて世界景気は後退期に入り、回復は2024年から2025年以降になるリスクがあります。そうなると、日経平均は高値から3割以上下がり、2万1,500円以下まで下がる可能性が出ます。

 先行き起こることを正確に予想することは誰にもできません。短期的なリスクを考えながら、リスク管理しながら、長期的に割安な日本株への投資を増やしていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。悲観が広がっている時は、後から振り返ると、株を割安に買う機会となっていることも多く、私はここから日本株を売るよりは、買いの機会を探っていった方が良いと思います。

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