日本株が相対的に堅調な4つの理由

 先週のレポートで書いたとおりですが、日本株が3月以降、相対的に堅調な理由は以下4点と思います。

【1】円安

 円安は日本の企業業績には大きなプラス要因です。円安による輸入物価の上昇が国民生活にマイナスなので、「悪い円安」とメディアで盛んに言いたてていますが、日本の企業業績全体に与える影響を集計すると、マイナスよりもプラスの方が大きいです。

【2】日本の企業業績が良好

 3月期決算の発表がほぼ終了しました。終ったばかりの2022年3月期が好調であったことに加え、新年度(2023年3月期)も小幅ながら増益が見込める可能性がでています。以下が、東証上場主要841社の業績推移です。今期、楽天証券では、連結純利益が5.8%の増益になると予想しています。

東京証券取引所上場、3月期決算主要841社の連結純利益(前期比)

出所:楽天証券経済研究所が作成
注:2017年3月期より2021年3月期までは東証一部上場の主要841社から計算、2022年3月期・2023年3月期は東証プライム上場の主要841社から計算。東証一部主要841社のうち、東証再編でプライム市場に入らなかった54社は除外し、プライムに入った銘柄と入れ替え

【3】リオープン(経済再開)への期待

 新型コロナウイルスの感染は続いていますが、重症化リスクが低下し、死亡率も通常のインフルエンザに近いところまで低下してきているので、リオープン(経済再開)への期待が高まっています。消費が、コロナで抑え込まれていた反動で、一時的に大きく伸びる可能性が出ています。
 米国では、昨年、コロナからの消費急回復がありました。米国は消費が急回復した後に過熱、反動で今年は減速する懸念が出ています。昨年、コロナの影響で消費が冷え込んだままで、今年やっと回復が期待できる日本とは逆の動きです。リオープンのモメンタムの差から、日本株を選好する向きも一部にあると考えられます。

【4】「インベスト・イン・キシダ」、資産倍増策への期待

 岸田首相が提唱している「新しい資本主義」では、株式投資にネガティブな提言が多く警戒が生じていました。ところが、先般、岸田首相がロンドンでおこなった講演では、「インベスト・イン・キシダ」と述べ、株式投資にフレンドリーな発言が出たことが注目されました。岸田政権の政策スタンスに変化が生じる兆(きざ)しかと、期待を生じています。