会社から退職金がある場合どうなる?

 先ほどの一時金の受け取り方法の計算式は、退職金が「iDeCoのみ」の場合です。iDeCo以外に会社から退職金を受け取る方は、税金の計算式が変わってきます。

同じ年にiDeCoと会社からの退職金を受け取る場合

 両者を合算して収入金額として、上記と同じやり方で税額を計算してください。その際、勤続年数が重複している期間については、重複してカウントはできません。

 例えば、40~60歳まで20年間会社勤務、50~60歳まで10年間iDeCo加入という場合は、20年+10年-10年=20年が勤続年数となります。

iDeCoと会社からの退職金の受け取り時期が異なる場合

 先に受け取る分については、上記のやり方で計算してください。後に受け取る分については、下記のルールに従って、退職所得控除額を計算することになっています。

・iDeCoを後に受け取る場合:前年以前19年以内に受け取った他の退職金を計算したときの勤続年数は除いて計算する
・退職金を後に受け取る場合:前年以前4年以内に受け取った他の退職金(iDeCoも含む)を計算したときの勤続年数は除いて計算する

 例えば、40~60歳まで会社勤務、かつiDeCo加入の人が、60歳で会社からの退職金を、65歳でiDeCoからの一時金を受け取る場合で考えます。20年の加入期間(=勤続年数)は、会社からの退職金受け取り時にカウント済みです。そのため、このケースではiDeCoの一時金受け取り時の勤続年数はゼロとして計算します。

 また、このルールに基づけば、例えば自営業者が小規模企業共済とiDeCoに加入している場合、先にiDeCoの一時金を受け取り、5年後に小規模企業共済の共済金を受け取れば、両方とも加入期間をフルに活用して退職所得控除額を計算することができます。

 このように、人それぞれの状況によって、有利・不利が異なりますので事前のシミュレーションは行うようにしましょう。

 また、専業主婦の方のように、会社に勤務していない方は、iDeCoの加入期間そのものを勤続年数として、退職所得控除額の金額を計算すればOKです。加入期間が10年であれば、退職所得控除額は400万円となります。これを上記の退職所得計算の数式に当てはめていけば所得金額が計算されます。