マクロ要因から説明
ドル回収
そしてマクロ要因からみても、典型的だ。すなわち、FRB(米連邦準備制度理事会)が世界中に供給したドルを回収に動き、市場では株が下落、債券が上昇(金利低下)する「質への逃避」的な動きが発生していた。
▼質への逃避
質への逃避相場では、市場は脆弱なもの、流動性が低いものを探して弱みを突く傾向がある。上昇相場では目立たない傷が目立って見えるからだ。
▼弱いものが狙われる
為替でいえば経常収支が赤字のエマージング国通貨、債券ではジャンク債や仕組債が大きく下げがちだ。そうした中、暗号資産の中でも脆弱性が問われていたUSTとLUNAに売りが集中したのも自然な動きで、次にDeFiやNFT銘柄に売りが波及したのも既視感がある。
回復の兆しと今後の展望
テザー売り
この動きで最後はステーブルコインの筆頭格であるUSDT(テザー)が一時94セントに値を下げたがすぐさま値を戻した。運営側は発行時に1テザー=1ドルを受け取っているので、94セントで1テザーを買い戻しバーンすれば6セントの利益となる。
テザーが戻ったことは当たり前なのだが、それで市場の動揺は少し落ち着いてきている。もう一度金融の言葉で説明すると、金融引き締めで質への逃避が発生、流動性が低く、リスクが高い資産にプレッシャーがかかる中で、問題があるプロジェクトが市場の攻撃に屈した。
しかし、同じステーブルコインでも比較的きちんとしているプロジェクトにも攻撃の手が及んだが、跳ね返されて落ち着きを取り戻しているというのが現状だろうか。
BTCが反発した理由
ところで、テザーに信用不安が走った時、何が買われるかご存じだろうか? テザーを売ってドルを受け取ればいいのだが、投資家がテザーを保有する大きな理由のひとつが、自由にドルを売買できないから。
しかし自国通貨に戻したのではわざわざテザーを購入した意味が薄れる。そこで、彼らは、暗号資産の中で最も流動性が高く、最も信頼性がある、BTCを購入する。金融市場では弱者であるBTCも、暗号資産市場では圧倒的な強者だからだ。
バブルの歴史
暗号資産市場は、ICOブーム、DeFiブーム、そしてNFTブームとバブルの歴史だった。その革新さ故に多少どうかな…と思うプロジェクトでも投資家を惹きつけすぎてバブル的な動きにつながってしまっている側面もある。
ITバブルや崩壊やリーマンショックを乗り越えた中からGAFAが生まれたように、ICOブームとその後の崩壊を経て不健全なプロジェクトが淘汰(とうた)され、いくつかの有力なプロジェクトがプレゼンスを高めている。DeFiもNFTもこうしたストレスを乗り越えながら、本物のプロジェクトが生き残っていくものと考える。
2022年 時事イベントと仮想通貨の出来事(最新順)
4月4日 | ウクライナへの仮想通貨で集まった寄付金、約123億円を超える E・マスク氏(テスラCEO)、Twitterの筆頭株主に。取締役にも任命される |
3月29日 | Axie InfinityのRonin Networkで大規模ハッキング |
3月22日 | 世界最大のヘッジファンド「Bridgewater Associates」、暗号資産ファンドに投資開始か |
3月17日 | FOMC、0.25%利上げ発表でビットコイン上昇 |
3月9日 | デジタル資産に関する米大統領令を好感 |
2月28日 | 米、ロシア中央銀行の資産を凍結。ルーブル安からBTCに逃避フロー |
2月27日 | 米欧、ロシアをSWIFTから排除 |
2月25日 | プーチン大統領、軍事攻撃を命令 |
2月20日 | 北京五輪閉幕 |
2月17日 | 米大統領、ロシアが数日中にウクライナ侵攻 |
2月12日 | BlockFi**、SECと1億ドルで和解。米国内でのレンディングサービス困難に |
2月4日 | 北京五輪開幕。当面、軍事衝突が控えられるという見方でBTC上昇 |
1月31日 | 春節の連休入り(大みそか)。例年BTCが強い時期 |
1月26日 | プーチン大統領、中銀の暗号資産禁止に同意せず |
1月20日 | ロシア中銀が暗号資産のマイニング*と流通の禁止を提案 |
マイニング*とは:暗号資産(仮想通貨)は一般的にブロックチェーンと呼ばれるネットワーク参加者が誰でも見られる元帳上に取引を記録していきます。そのブロックチェーン上に取引データを記録する際に、膨大な計算を行うことで新たなブロックを生成する暗号を見つけ出し、その報酬としてコインを手に入れる行為のことです。マイニングの主な役割は「暗号資産の新規発行」と「取引の承認」です。
BlockFi**とは:暗号資産融資プラットフォームBlockFi(ブロックファイ)が提供する暗号資産を預かって利息を払うサービス(レンディング)が証券法に違反したと提訴された事件に関する和解として、SEC(米国証券取引委員会)に1億ドル(約115億円)を支払うと発表。
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