3社とも巨額の有価証券含み益を有するが、前期は外債含み損が拡大

 3メガ銀行はこのように安定的に高収益を稼ぎ、財務良好であるにもかかわらず、株価は長期にわたり低迷してきた結果、株価指標で見てきわめて低い水準にあります。英語でいうと、ディープ・バリュー株(きわめて割安な株)といって良いと思います。

 PBR(株価純資産倍率)が0.4~0.5倍と、解散価値の1倍を大きく割れているのは特筆できます。以下の通り、保有する有価証券に巨額の含み益があることを考えると、ここまで株式市場で低評価なのは「売られ過ぎ」と判断しています。

 ただし、1年前(2021年3月末)と比較すると、3社とも有価証券の含み益が大きく減少しています。米国金利の上昇によって保有する外国債券の含み損が拡大した影響が大きいです。株価が下落したために株の含み益が減少した影響も受けています。含み益の金額は、このように世界の金融市場によって大きく変動しますが、それでも大きな含み益があることには変わりなく、強固な財務基盤を有していることがわかります。

保有有価証券の含み益

出所:各社決算資料より作成

 最後に告知事項です。筆者は過去に三井住友銀行に勤務したことがあり、三井住友FG株を9,000株保有しています。

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