ロシア関連エクスポージャーは問題となる規模でない、前期に引当・減損済み

 ロシア向けの与信で巨額の特別損失を計上する銀行が、欧州で増えています。日本の3メガ銀行もロシア向けの与信はあるのでその影響が懸念されていました。ただ今回の決算発表で懸念は低下しました。3社ともロシア向け与信はあるものの与信全体に占める割合は小さく、ほとんど前期の第4半期に引当金を計上済みです。今後、ロシア関連で大きな損失が出る可能性は、3社とも低いと考えられます。

 三菱UFJの開示資料によると、銀行連結でロシア向け与信残高が3月末で約3,100億円(管理計数ベース)ありますが、それは銀行連結全体の0.2%未満と小さな割合です。前期に、約1,400億円の引当金を計上しています。

 三井住友FGの開示資料によると、前期決算で、ロシア向け与信への引当や航空機リースの機体減損でボトムラインに約1,000億円のマイナス影響がありました。ロシア向け与信残高は3月末で約29億ドル(管理計数ベース)あり、それとは別に、航空機リースの在ロシア機材簿価が8億ドル(減損後)あります。前期決算でロシア関連で予防的に引当・減損を実施したので、今期以降は大きな損失は発生しないと考えられます。

 ただし、リスクとしてロシア・ウクライナ情勢が想定以上に悪化すると、同社は航空機リースで最大4億6,000ドルの追加減損が必要になる可能性があるとしています。

 みずほFGは、同社開示資料によると、ロシア関連のエクスポージャーが3月末で29億2,000ドルあるものの、連結全体に対する比率は0.2%と小さく、直接影響を受ける部分について969億円の引当を計上済みです。