最強のはずの4月に下がった2つ目の理由

 今月はBTC相場の秘密というテーマなので、2つ目の4月のBTC相場が不振だった秘密をご紹介しよう。それは出来高の減少だ。

BTC価格と出来高

出典:Cointelegraphより楽天ウォレット作成 出来高はCoinbaseなど大手数社合計

 株式市場には「閑散に売りなし」という格言がある。出来高が少ない持ち合い市場でしびれを切らして売りに回ると思わぬ反発に出くわしかねないといさめた言葉のようだが、例えばサマーラリーなどの根拠ともされる。

 しかし、BTC相場の場合、マイニングによる供給が一定であるため、市場の出来高が減少すると売り圧力が相対的に強くなる傾向がある。上はBTC相場と出来高の推移だが、凸凹はあるがならしてみれば、かなり相関しており、4月後半の相関係数は0.7を上回っている。

 よくGoogle TrendsやYahooのリアルタイム検索によるBTCの検索数やTweet数などによるBTCへの注目度で相場の温度感を測れるのは、こうしたメカニズムによる。2つ目のBTC相場の秘密だ。

5月のBTC相場-5月は投資家が消極的?

 こうした状況をもとに5月の相場を占うと、まず米投資家動向だが、これはあまり期待できない。5月はSell in Mayといわれるように株式市場に売り圧力がかかりやすいとされている。

 実際のNASDAQのパフォーマンスを見ると決算月である6月の方が5月より悪く、それ故、5月に売れといわれているのかもしれない。

 ただ、ほかにも5月と11月は米ヘッジファンド決算が集中するため、リスクアセットの換金売りが多いともいわれている。

金融政策との関係

 また、今年の金融市場のメインテーマはFRBが米インフレを抑制できるかであると考えている。

 この実質金利が大幅にマイナスの状況ではインフレは抑制できないことをFRBメンバーは痛いほど認識していて、ことあるごとに引き締め姿勢を強めようとしている。

 5月のFOMCで50bp利上げの織り込みに成功したら、今度はブラード米セントルイス連邦準備銀行総裁が75bp利上げを言い始めた。注目すべきは「テイラールールに基づけば3.5%が最低の中立金利」と禁句だったテイラールールや中立金利に言及し始めたことだ。

 アトランタ連銀の試算では、テイラールールによれば2%のインフレを実現するために必要な政策金利は7.0~7.54%だ。

 したがって、今後は株が少し上がれば、FRBが引き締めを強化する、というイタチごっこが、政策金利が7%近くになるまで続くことになる可能性があり、BTCの上値は抑えられそうだ。