4月のビットコインイベント

NEW! 4月6~9日 Bitcoin2022がマイアミで開催。昨年はエルサルバドルのBTC法定通貨化が発表されたが、今年はやや期待外れの声も
NEW! 4月19日 オーストラリアで初のビットコイン・イーサリアムETFが承認
NEW! 4月27日 中央アフリカ、ビットコインを法定通貨に採用

*2022年1月以降の主なビットコインイベントは記事最終ページにまとめています。
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4月のビットコイン価格と経済イベント

出典:Cointelegraphより楽天ウォレット作成

4月の振り返り

 4月のBTC相場は下落。4万7,000ドル(約580万円)で上値を抑えられると4万ドル(約500万円)割れまで下落。同水準で2度サポートされると、4万3,000ドル(約550万円)まで反発するも、その後失速、また4万ドルを割り込んでいる。

 下落の要因は米長期金利上昇と米株の下落。ハト派で知られるブレイナードFRB(米連邦準備制度理事会)理事が5月のFOMC(米連邦公開市場委員会)でのBS縮小をコメントしたこと辺りから米長期金利は大きく上昇、米株は下落、BTCも下落していった。

 同じころプレーすることで収入が得られると東南アジアでブームを起こしたAxie Infinityで6億ドルを超える大規模なハッキング事件が発生、BTC相場の上値を重くした一因となった。

 その後、発表された米CPI(消費者物価指数)のヘッドラインは前月比1.2%と加速、コアは同0.3%と伸び率が鈍化とMIXな内容だったが、イースター明けの原油相場が上昇に転じ、インフレが加速する公算が高くなり、BTCも反発を見せた。

 これを受け、パウエルFRB議長は5月FOMCでの50bp利上げを支持すると示唆、高官の中には次回以降75bpの利上げの可能性を示唆するなどタカ派姿勢を高めた結果、米株・BTCともに反落した。

最強のはずの4月に下がった1つ目の理由

 これで最弱の3月に上昇、最強の4月に下落と2カ月連続でアノマリーに反した動きをしたBTCだが、その4月に下落した理由は何だろうか。

BTCと米NASDAQ指数との推移

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 まず、米株の下落があげられる。上図はBTCと米NASDAQ指数との推移だ。今年に入って相関が強くなっている。同じリスク資産として、そして新興市場であるNASDAQは米利上げに脆弱(ぜいじゃく)である点でよりBTCと相関している。

 下はその相関係数の推移だが、特に米機関投資家がアロケーションの一部に組み込み始めた2020年4月ごろから両者の相関係数は上昇、最近の相関係数は0.7~0.8と非常に高い相関性を見せている。1つ目のBTC相場の秘密だが、これは有名で、公然の秘密といったところか。

米NASDAQとBTCの相関関係

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

債券市場が示すもの

 米株が下落した要因は米長期金利の上昇だ。下の図は米10年国債金利と米2年国債と10年国債の利回り格差だ。4月にこの米債市場で2つの事件が起こっている。

 1つ目は2年債利回りが10年債利回りよりも高くなる逆イールドだ。これが発生すると非常に高確率で米経済が1~2年後に不況入りしてきた。

 2つ目は金利上昇しながら2年より10年金利が上昇する、ベアスティープだ。これは、FRBの引締めが遅れて将来のインフレ抑制ができなくなる、いわゆるビハインドザカーブを示唆している。

 この2つを合わせると、米債市場は、将来、米経済は不況入りしてインフレも上昇するスタグフレーションに陥ることを示唆している。

米10年債利回り・米2年10年債スプレッド

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 1980年代に見られたスタグフレーションの問題のひとつは、株も債券も値下がりしてしまうことだ。通常の景気サイクルでは両社が補完しあうのだが、スタグフレーションとなると何を買っても値下がりしてしまう。この4月も株も債券も値下がり(金利上昇)した。

 そうすると投資家のポートフォリオ全体が縮小してしまい、その一部を占め始めているBTCにも買いが入りにくい、そういった事態が、4月の不振につながった可能性がある。

米投資家動向

時間帯別BTCパフォーマンス(1日平均:ドル)

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 その傍証として先月紹介した時間帯別のBTCパフォーマンスを見てみたい。買いの中心である米国時間にBTCが上がったのか、下がったのかで彼らの態度を見るものだが、2月3月と上昇していた米国時間が下落に転じている。

 そういえば、4月は米株オープンまでBTCは上昇、米株が反落してBTCもツレ安という展開が多かった気がする。

最強のはずの4月に下がった2つ目の理由

 今月はBTC相場の秘密というテーマなので、2つ目の4月のBTC相場が不振だった秘密をご紹介しよう。それは出来高の減少だ。

BTC価格と出来高

出典:Cointelegraphより楽天ウォレット作成 出来高はCoinbaseなど大手数社合計

 株式市場には「閑散に売りなし」という格言がある。出来高が少ない持ち合い市場でしびれを切らして売りに回ると思わぬ反発に出くわしかねないといさめた言葉のようだが、例えばサマーラリーなどの根拠ともされる。

 しかし、BTC相場の場合、マイニングによる供給が一定であるため、市場の出来高が減少すると売り圧力が相対的に強くなる傾向がある。上はBTC相場と出来高の推移だが、凸凹はあるがならしてみれば、かなり相関しており、4月後半の相関係数は0.7を上回っている。

 よくGoogle TrendsやYahooのリアルタイム検索によるBTCの検索数やTweet数などによるBTCへの注目度で相場の温度感を測れるのは、こうしたメカニズムによる。2つ目のBTC相場の秘密だ。

5月のBTC相場-5月は投資家が消極的?

 こうした状況をもとに5月の相場を占うと、まず米投資家動向だが、これはあまり期待できない。5月はSell in Mayといわれるように株式市場に売り圧力がかかりやすいとされている。

 実際のNASDAQのパフォーマンスを見ると決算月である6月の方が5月より悪く、それ故、5月に売れといわれているのかもしれない。

 ただ、ほかにも5月と11月は米ヘッジファンド決算が集中するため、リスクアセットの換金売りが多いともいわれている。

金融政策との関係

 また、今年の金融市場のメインテーマはFRBが米インフレを抑制できるかであると考えている。

 この実質金利が大幅にマイナスの状況ではインフレは抑制できないことをFRBメンバーは痛いほど認識していて、ことあるごとに引き締め姿勢を強めようとしている。

 5月のFOMCで50bp利上げの織り込みに成功したら、今度はブラード米セントルイス連邦準備銀行総裁が75bp利上げを言い始めた。注目すべきは「テイラールールに基づけば3.5%が最低の中立金利」と禁句だったテイラールールや中立金利に言及し始めたことだ。

 アトランタ連銀の試算では、テイラールールによれば2%のインフレを実現するために必要な政策金利は7.0~7.54%だ。

 したがって、今後は株が少し上がれば、FRBが引き締めを強化する、というイタチごっこが、政策金利が7%近くになるまで続くことになる可能性があり、BTCの上値は抑えられそうだ。

最強のはずの4月に下がった3つ目の理由

BTCUSD月別騰落率

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 ただ、悲観的な状況ばかりではない。アノマリーでいえば4月には及ばないが5月のパフォーマンスは過去11年で7回上がって、4回下がるとまずまず。

4月28日~5月7日期間中のBTCUSD(4月28日基準%)

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 加えてGW(4月28日~5月7日)のBTCは8年連続で上昇している。本稿が公開される頃にはすでに結果は出ていそうだが、心強いデータだ。3つ目のBTC市場の秘密だ。

 この背景として、中国の連休期間中はマイナーの売り圧力が後退することが指摘されてきた。その結果、昨年の中国政府のマイナー取り締まり強化により、そうした効果は薄れるのではないかとの声も聞かれた。

 しかし、その後の昨年10月の国慶節や、今年1月の春節期間中もBTCは上昇した。今回のGWも上昇する可能性がある。

 カレンダー的には今年のラマダンは4月30日に終わるため、GW中にアラブの投資家が市場に戻ってくる可能性もある。

 まとめると、5月の相場は前半上昇、後半下落でほぼ横ばい推移と予想する。

2022年 時事イベントと仮想通貨の出来事(最新順)

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E・マスク氏(テスラCEO)、Twitterの筆頭株主に。取締役にも任命される
3月29日 Axie InfinityのRonin Networkで大規模ハッキング
3月22日 世界最大のヘッジファンド「Bridgewater Associates」、暗号資産ファンドに投資開始か
3月17日 FOMC、0.25%利上げ発表でビットコイン上昇
3月9日 デジタル資産に関する米大統領令を好感
2月28日 米、ロシア中央銀行の資産を凍結。ルーブル安からBTCに逃避フロー
2月27日  米欧、ロシアをSWIFTから排除
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2月20日 北京五輪閉幕
2月17日 米大統領、ロシアが数日中にウクライナ侵攻    
2月12日 **BlockFi、SECと1億ドルで和解。米国内でのレンディングサービス困難に
2月4日 北京五輪開幕。当面、軍事衝突が控えられるという見方でBTC上昇
1月31日  春節の連休入り(大みそか)。例年BTCが強い時期
1月26日 プーチン大統領、中銀の暗号資産禁止に同意せず
1月20日 ロシア中銀が暗号資産の*マイニングと流通の禁止を提案

*マイニングとは:暗号資産(仮想通貨)は一般的にブロックチェーンと呼ばれるネットワーク参加者が誰でも見られる元帳上に取引を記録していきます。そのブロックチェーン上に取引データを記録する際に、膨大な計算を行うことで新たなブロックを生成する暗号を見つけ出し、その報酬としてコインを手に入れる行為のことです。マイニングの主な役割は「暗号資産の新規発行」と「取引の承認」です。

**暗号資産融資プラットフォームBlockFi(ブロックファイ)が提供する暗号資産を預かって利息を払うサービス(レンディング)が証券法に違反したと提訴された事件に関する和解として、SEC(米国証券取引委員会)に1億ドル(約115億円)を支払うと発表。

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