中国景気減速の始まり

 18日(月)に発表された中国の1-3月期GDP(国内総生産)は実質で前年比+4.8%となりました。前期の2021年10-12月期の+4.0%を上回りましたが、足元はコロナの感染急拡大によるゼロコロナ政策に基づく都市封鎖の影響で減速傾向にあります。最も影響を受けたのが消費で、3月の小売売上高は前年比▲3.5%と、1~2月の+6.7%からマイナスに転じました。

 4月以降の中国の感染者数は連日2万人を超えており、さらに消費への影響が大きくなりそうです。上海市の感染者数は中国全土の9割以上を占めているとのことであり、ポーランドのGDPに匹敵する上海の都市封鎖が続けば、中国の4-6月期GDPの下振れリスクがますます高まりそうです。

 また、中国メディアによると、17日(日)時点で22都市が「封鎖」措置を実施しているとのことです。このまま同時多発で都市封鎖が続けば、GDPを2%程度押し下げる可能性があるとの分析もあり、中国政府が3月に設定した今年の成長率目標「5.5%前後」を大きく下回る可能性があります。中国の景気減速は始まったばかりかもしれません。

 日本は中国との経済関係が深いことから、中国経済がさらに減速すれば大きな影響を受けることになります。もちろん日本だけでなく、中国の都市封鎖によるサプライチェーンの混乱によって世界経済が揺さぶられることも予想されます。

 コロナ禍の中でも日本の2021年度首都圏(1都3県)の新築マンション平均価格が前年比+6.1%の6,360万円となり、バブル期の1990年度の6,214万円を上回り、過去最高を更新しました。一方で、日常生活に浸透してきた物価高、景気減速が身近に迫ってきています。

 先週、岸田文雄首相は円安をどう思うかと記者団に聞かれた時に、こういう問題に首相が答えないのは「常識」であると答えました。4月に入って、ニュースや週刊誌で物価高の特集やその背景の一因が円安との内容が頻繁にメディアに出始めています。

 政府は物価高、住宅高騰、景気減速の環境で参院選を迎えることになりますが、「悪い円安」がそれらに拍車をかけているとの声が大きくなったときに6月後半の参院選公示までに政府が円安対策に全く動かないのか注目です。

 相場は望まない方向に進むことがよくありますが、大多数が予想する方向に相場が動くのは久々の動きです。週間の値幅も大きくなってきており、この円安がどういう結末になるのか注目です。

 G7や日米財務相会談で一息つくのか、5月3~4日のFOMC後に一息つくのか注目です。ただ、FOMCの時期は日本ではゴールデンウィーク真っただ中であるため、乱高下に警戒する必要があります。