セイノーHLDG(9076・東証プライム)

▼どんな銘柄?

「カンガルー便」で知られる西濃運輸を中核とする物流会社です。製造関連分野の構成比が過半近くを占めています。ロジスティクス事業の拡大に注力し、設備投資を積極化させています。また、トヨタ自動車や日野自動車などの自動車販売事業も行っているほか、物品販売事業なども手掛けています。

▼業績見通し

 決算発表は5月13日を予定しています。2022年3月期営業利益は295億円で前期比20.1%増益の見通しです。第3四半期までの進捗率は76%と順調に進捗しています。新型コロナウイルス感染拡大の影響低減で国内貨物輸送量が回復し、主力の運輸事業がけん引役となっています。

 年間配当金は未定ですが、会社側では連結配当性向30%をメドとしていることで、現在の業績予想からは33円程度が推定されます。なお、2023年3月期営業利益は、中期計画では上半期決算発表時点で336億円の計画でした。

▼ここがポイント

 2021年12月には出前館と業務提携を締結しており、個人向け配送事業の拡大につながっていくか注目されます。陸上輸送業界は全般的にガソリン価格上昇の影響が懸念されるところですが、同業のヤマトHD(PBR1.50倍)、SGHD(PBR3.11倍)などとの比較では、同社のPBR水準の割安感は際立っており、水準訂正余地は大きいとみられます。

シチズン時計(7762・東証プライム)

▼どんな銘柄?

「CITIZEN」ブランドの腕時計大手企業です。部品から完成品まで自社で一貫製造し、世界シェア3割を占める時計事業を主力に、工作機械事業、デバイス事業なども手掛けています。工作機械では、CNC自動旋盤で世界トップクラスのシェアを誇っています。

 デバイスではLED分野が主軸製品で、水晶デバイスなども扱っています。売上高の約7割が海外売上となっています。新たな中期経営計画では、2025年3月期売上高3,200億円、営業利益率8.0%を目指しています。

▼業績見通し

 決算発表は5月12日を予定しています。2022年3月期営業利益は185億円で前期比280億円の損益改善となる見通しです。第3四半期決算時に従来予想の172億円から上方修正しています。

 北米を中心とした海外時計事業が好調に推移、工作機械事業も国内外の幅広い業種向けに受注が回復しています。年間配当金は前期比13円増配となる18円を計画しています。なお、2023年3月期の市場コンセンサスはほぼ横ばい程度の水準とみられます。

▼ここがポイント

 対ドルでは1円の円安で3億円、対ユーロでは1円の円安で0.7億円の営業利益増加要因となります。現在の円安状況が前提ならば、2023年3月期はコンセンサスを上回る業績が期待できるでしょう。

 また、世界的な経済活動の正常化による外出機会の増加は時計事業の上振れ要因ともなりそうです。海外売上比率の高いハイテクセクターにおいては数少ないバリュー株と位置付けられ、妙味は大きいでしょう。