三菱UFJ FG(8306・東証プライム)

▼どんな銘柄?

 三菱UFJ銀行を核とする国内最大の金融グループとなります。グループには著名な企業だけでも、三菱UFJモルガン・スタンレー証券やモルガン・スタンレーMUFG証券、auカブコム証券などの証券会社、三菱HCキャピタルなどのリース会社、アコムやジャックス、三菱UFJニコスなどのノンバンクを抱えています。

 また、米地銀や東南アジア地銀なども傘下に抱え、国際部門の利益寄与が3~4割と高いことも特徴といえます。

▼業績見通し

 決算発表は5月16日を予定しています。2022年3月期純利益は1兆500億円、前期比35.1%増を見込んでいます。第3四半期までで1兆700億円を稼いでいるため、通期計画は超過している状況にあります。第4四半期に一過性の損失計上が見込まれますが、下振れの可能性は低いと言えるでしょう。

 米国の経済見通し改善などによって、与信関連費用などが大幅に改善しています。年間配当金は前期比3円増の28円を計画しています。2023年3月期の市場コンセンサスは小幅な増益になっていると想定されます。

▼ここがポイント

 目先的には自社株買いの発表などが期待材料とされそうです。2023年3月期は4,000億~5,000億円程度の規模での実施を期待しているようです。また、金融引き締め強化に伴う米国の金利上昇は株価にとってポジティブに働きます。

 国内でも、異次元緩和の長期化が続いていますが、インフレ懸念が高まる中での急激な円安進行によって、緩和政策の変更を期待する動きなども強まる余地があります。

 いずれにせよ、黒田日本銀行総裁の任期があと1年となってきている中、これからは金融政策変更を意識した銀行株高の流れは強まると考えられます。

清水建設(1803・東証プライム)

▼どんな銘柄?

 ゼネコン大手の一角です。大手ゼネコン内では相対的に、民間建築の比率が高いことが特徴とされています。オフィス、工場、学校、病院などの建築に強みがあります。海外には1970年代から進出し約60カ国で施工実績、日系企業の工場建設などを中心に手掛けます。

 非建設事業では、不動産開発、エンジニアリング、再生エネルギーなども展開しています。2022年3月には日本道路を連結子会社化しています。

▼業績見通し

 決算発表は5月12日を予定しています。2022年3月期営業利益は765億円で前期比23.6%減を見込んでいます。受注競争激化に伴う国内建設工事の採算悪化が減益要因となるもようです。年間配当金は前期の30円に対して23円の会社計画となっています。

 受注自体は順調に推移しているもようで、2023年3月期も売上高は増加が見込まれますが、建築資材の上昇や人件費の上昇などで、営業利益は高い伸びが期待されていないようです。

▼ここがポイント

 大手ゼネコン4社の中ではPBR水準の割安感が最も強いレベルにあり、2021年以降の株価パフォーマンスも相対的に低い状況です。株価の出遅れ感や割安感は意識されます。また、工場建設に強みがあることは、製造業の国内生産回帰によるメリットが大きいと判断されます。今後も一段と円安が進展した場合は、こうした強みにスポットが当たる可能性もあるでしょう。

ヤマダHLDG(9831・東証プライム)

▼どんな銘柄?

 業界最大手となる家電量販店チェーンです。ダイクマやベスト電器などを傘下に収めて事業規模を拡大させています。また、住宅関連分野においても、エスバイエル、ハウステック、大塚家具、ヒノキヤグループなどを相次ぎ子会社化し、業界上位の一角に浮上してきています。

 中期計画では、2025年3月期売上高2兆円、営業利益1,230億円を目標としています(2022年3月期見込みは売上高1兆6,860億円、営業利益900億円)。

▼業績見通し

 決算発表は5月6日を予定しています。2022年3月期営業利益は900億円で前期比2.3%減益を見込んでいます。前年度に発生した巣ごもり特需の一巡などで、売上高が伸び悩む見込みとなっています。第3四半期までの進捗(しんちょく)率からみると、下振れ着地となる可能性が高そうです。

 年間配当金は未定としていますが、連結配当性向30%以上から推測すれば、現在の利益計画で21円程度と推定されます。中期計画では、2023年3月期営業利益は950億円、前期比5.6%増となっていますが、コンセンサスは同水準の未達を織り込んでいるようです。

▼ここがポイント

 新業態の「LIFE SELECT」が好調な滑り出しのもようで、転換前と比べて、売上・利益が拡大しています。これは、地域最大級の品ぞろえとなる大型店舗であり、会社側のエリア別店舗開発の推進に沿ったものとなります。家電量販店と住宅販売のシナジー効果なども今後徐々に表面化していく期待が持てます。

 また、コロナ禍からの回復に関しても、これまでは巣ごもり需要減少が意識されていましたが、今後はインバウンドの緩やかな回復を織り込むポジティブな局面が近いとみられます。