ウクライナ情勢の不透明感が強いほか、今回の決算はガイダンスリスクに注意

 米国の金融引き締め強化に関しては、足元でだいぶ織り込んできている印象があります。5月のFOMC以降、3会合連続での0.50%利上げ実施が視野に入っているとみられます。ただ、ウクライナ情勢の先行きが見通せないことで、積極的な買いは手控えられている印象があります。

 長期化するに伴って、対ロシアへの経済制裁の動きが強まっていくとみられるほか、ロシアと中国の接近に伴う中国への制裁強化などの動きも今後は想定されるところです。こうした流れによっての、世界的な景気悪化、一段のインフレ進行などへの懸念は当面拭えそうにありません。

 今後1カ月の最大の注目材料としては、2022年3月期の決算発表が挙げられます。とりわけ、原材料費や物流費の上昇などによる新年度業績見通しへの警戒感は強いと考えられます。しかし、足元の決算後の株価反応を見る限り、安川電機や台湾の半導体製造装置受託最大手TSMCなどは、想定を上回る好業績見通しを発表しました。

 それなのに株価の好反応は乏しい状態になっており、主力のグロース株に関しては、かなり今回の決算のハードルは高いと感じざるを得ません。現状で言うと、電気機器や精密機器、自動車、機械などの大型株は、決算発表で調整後の押し目買いを考慮したいところです。

 むしろ、食品や化学など原材料費上昇のマイナスインパクトが大きいとみられるセクターなどは、厳しめのガイダンスが悪材料出尽くしと捉えられる可能性もあるでしょう。

 なお、日本のゴールデンウイーク期間中の5月4日には米FOMCが開催され、0.50%の利上げが行われるとみられますが、織り込み済みであって、ネガティブな反応は限定的となりそうです。

 通常、4月は海外投資家の資金流入が膨らむことで、日経平均は上昇しやすい月ともいわれています。5月は米FOMCが再度のあく抜け材料につながったとしても、需給面は逆風となる可能性が高いでしょう。

 ウクライナ情勢の悪化が原材料費のさらなる上昇、サプライチェーンの混乱につながる余地も残るため、全体相場には引き続き慎重な見方が必要となります。好決算銘柄などの個別物色に絞りたいところです。

 為替相場に関しても、ドル/円相場が130円を超える状況となれば、一転して相場にはマイナスとなる可能性もあります。決算関連でいえば、三井ハイテック(6966)HIOKI(6866)などの好業績見通しから、EV関連銘柄などには期待が持てそうです。

 また、流通時価総額基準が未達のままグロース市場に上場した銘柄は、株価上昇の必要性が高いため、悪い業績見通しは示さないと考えられます。ロシアとウクライナの紛争による地政学リスクやインフレ懸念の高まりを考慮すれば、防衛関連銘柄、原発関連銘柄などは中期間隔でも注目できそうです。