ボラティリティと、揺れる相場材料に引き続き、要警戒

 1つ目は、相場のボラティリティ(値動きの振れ幅)がまだ大きいことです。

図3 日経平均75日移動平均線乖離率のボリンジャーバンド (2022年4月15日時点)

出所:MARKETSPEEDⅡデータを元に筆者作成

 上の図3は前回のレポートでも紹介した、75日移動平均線で見た乖離(かいり)率推移のボリンジャーバンドです。先週の乖離率は、中心線(MA)まで低下した後、この線がサポートとなり、0%ラインをうかがうところまで戻しています。

 また、前回のレポートでは、トレンドが発生しているのとは反対側のバンドの向きに注目しました。通常、トレンドが発生した時のバンドの向きは上下に拡大していくのですが、発生しているトレンドと反対側のバンドの向きが変わったときに、トレンドが一服するという見方があります。

 足元ではマイナス2σ(シグマ)が該当するのですが、実は、先週末15日(金)時点の値(マイナス10.81%)が前週末から変わっておらず、バンドの向きが上向きに変わり切れていない状況のため、値動きが大きくなりやすい状況が続いていると考えることができます。

 もう1つ、気をつけておきたいのが、相場材料です。

図4 相場材料の整理 (2022年4月15日時点)

各種資料より楽天証券作成

 先程も述べたように、先週の株式市場はインフレ傾向の一服観測で株価が上昇する場面がありましたが、相場の地合いは基本的に米金利の動向に合わせて株価も上下しているため、ムードが日替わりで変化しやすい状況です。

 したがって、株価が一段高となるには企業業績のサプライズなどのきっかけが必要になりますが、今週の国内企業の決算については日本電産が注目されるものの、銘柄数は先週から少なくなります。

 一方の米国では、テスラやネットフリックス、J&J、P&G、IBMなどの発表が控えており、今週の日本株は米国株市場の動きに合わせる場面が増えそうです。

 また、週末時点の米10年債利回りは2.82%でしたが、月初の4月1日は2.37%でしたので、0.5%ほど金利が上昇し、ちょうど次回のFOMC(米連邦公開市場委員会)で想定される利上げ幅を織り込んだといえますが、そもそも米金融政策の正常化ペースは前回より大きく上回ることに変わりはなく、多少の引き締めペースの鈍化観測だけで今後もグイグイ株価を上昇させていくのは難しく、「FRB(米連邦準備制度理事会)には逆らうな」という相場格言への意識も高まってくるかもしれません。

 そのほか、中国の「ゼロコロナ政策」の徹底による影響や、ウクライナ情勢をめぐっては、ロシアが5月9日の対独戦勝記念日に向けて軍事行動を活発化させているなど、相場の波乱になりかねない材料が多く燻(くすぶ)っており、不安定さも念頭に置いて取引に臨む必要がありそうです。