75日移動平均線に注目!

 そして、次に注目されるのは75日移動平均線になります。

 仮に、このままもみ合いがしばらく続いたとしても、25日移動平均線が75日移動平均線を上抜ける「ゴールデン・クロス」を達成しそうなほか、足元で上値の抵抗となっている75日移動平均線を上抜けできれば、株価水準をもう一段階切り上げる展開も想定されます。

 もちろん、75日移動平均線が抵抗として機能し続ける可能性もあるため、今週は株価の戻り基調の継続が焦点になりそうです。

 となると、「株価は上方向と下方向のどちらに向かいそうなのか?」が気になるところですが、短期的なテクニカル分析では何だかんだで、上方向への意識が優勢のサインが出ています。

図2 日経平均(日足)とRSI (2022年4月15日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図2は、上段が日経平均の日足チャート、下段がRSI(相対力指数)と呼ばれる指標です。

 RSIとは、一定期間における値動き幅の合計のうち、上昇した値幅の割合を示したもので、0%から100%の範囲内でRSIの数値が高いほど買いが強く、反対に数値が低いほど売りが強いことを意味し、買われすぎや売られすぎなどの相場の過熱感を探るためによく使われます。

 ただ、今回はRSIの値ではなく、株価との方向感を比較することに着目します。図2を見ると、足元の株価は3月9日から4月12日にかけて下値が切り上がっている一方で、RSIの下値が切り下がっており、株価とRSIの向きが反対の、いわゆる「逆行現象」と呼ばれる格好になっています。

 逆行現象は、主としてトレンド転換のサインとして説明されますが、逆行現象にはトレンドの「転換型」と「継続型」のふたつがあり、ここでは詳しい説明は省略しますが、今回出現しているのは後者のトレンド継続型と考えられます。

 実際に、図2のチャートを過去にさかのぼると、昨年の8月20日から10月6日にかけて、安値が切り上がる一方でRSIが切り下がる、ちょうど足元の状況と似ているタイプの逆行現象が出現していましたが、その後の株価はもみ合いを続けながら下値を切り上げていきました。

 また、当時は75日移動平均線と200日移動平均線の距離が近く、株価は上抜けた75日移動平均線をサポートにしつつ、200日移動平均線超えをトライしていきましたが、足元では両者の距離が離れているため、株価が上昇した場合、200日移動平均線や2万8,000円あたりが上値のメドとなりそうです。

 ちなみに、昨年の逆行現象の出現後において、戻り基調の値動きを細かくみていくと、もう1つの逆行現象(トレンド転換型)も見えてきます。

 具体的には昨年11月あたりの場面なのですが、この時は株価が戻り高値を更新している一方で、RSIの上値が切り下がっていました。そして、ほどなくして株価が下落に転じています。今後の株価が戻り高値を更新するような値動きになった場合には、RSIの向きも要チェックです。

 このように、日経平均の短期のチャートでは、しばらくは株価の戻りや堅調な値動きが期待できそうな印象ですが、気を付けておきたい点もあります。