超長期の積立投資になじむのがプラチナ

 ここまで、「古い常識」の衰退がはじまり、「新しい常識」が芽生えつつある、プラチナを取り巻く環境の変化を確認しました。こうした環境の変化は、プラチナ相場を超長期的視点で、上昇に導く可能性があると、筆者は考えています。

図:プラチナ価格(税抜)の推移と今後のイメージ3パターン 単位:円/グラム

出所:国内大手地金商の価格をもとに筆者作成

「新しい常識」は、いずれ本流になると考えていますが、現時点で、そのタイミングを見定めることが困難でしょう。まだまだ「古い常識」が市場を支配する可能性もあります。このため、30年先の2052年をいったんのゴールとし、現在の価格であるおよそ4,000円/グラムを起点に、3つの超長期的な上昇パターンを描いてみました。

 仮に、この超長期的上昇局面を、シンプルで人気がある手法である「プラチナ積立」で活用した場合、資産の額は以下のように推移します(毎月1万円を積立てた場合。売買手数料は当社のルールに準じ、買付け時に1.65%(税込)を適用)。

 投資額は合計360万円(1万円×360カ月)でした。2052年3月で決済した最終的な損益は、パターン1が+69万円、パターン2が+71万円、パターン3が+76万円でした。積立投資は「保有数量」と「最終的な価格」によって損益が大きく変動することが、わかります(価格だけが重要事項ではない)。

図:3パターンの損益推移 単位:円

出所:国内大手地金商の価格をもとに筆者作成

 パターン2やパターン3は、最終的に、順調に価格が上昇したパターン1を上回る利益を出しました。積立を開始した後、価格が横ばいでも価格が下落しても、最終的に価格が一定程度上昇していれば利益をあげることができます。パターン3が示す通り、取引開始の価格水準に回復していなくとも、です。

 価格が今、急上昇している銘柄は耳目をひくため、心理的に手掛けやすいかもしれません。しかし、こと積立投資の場合、最終的に価格上昇が起きるのであれば、取引期間中の価格下落は「保有数量を増やす要因」となるため、歓迎される要素と言えます。

「今は上昇しない、今後上昇しそう」という値動きは、「古い常識」に支配されて上昇しない傾向が続いているものの、「新しい常識」によって今後上昇しそう、というこれからのプラチナの環境そのものと言えるでしょう。

 これからのプラチナは、他の急上昇している銘柄に比べて、積立投資に適している可能性が高いと言えるでしょう。

プラチナと「大器晩成」を目指す楽しさ

「古い常識」の衰退のはじまりと「新しい常識」の芽生え、というプラチナの環境を確認した上で、それらから想定される値動きを積立投資に用いる有用性について、述べました。

 本レポートを書きながら感じたことは、「プラチナ積立は大器晩成型なのではないか?」ということです。今のプラチナは、イケイケで上昇している華々しい銘柄と一線を画す、目立たない、暗い存在に見えるかもしれません。

 しかし、20年後、25年後に、「新しい常識」に支えられて価格が大きく上昇した場合、それまで「古い常識」によってもたらされた苦労や強いられた我慢(価格低迷=保有数量増加)が、豊かな果実となって返ってくるわけです。まさに「大器晩成」と言えるでしょう。

図:プラチナ積立の意義「大器晩成」の体現

出所:筆者作成

 激動の世の中を本格的に歩み始めた新社会人の皆さんは特に、今すぐに成功することよりも、超長期的な人生のイメージを持つようにするとよいと筆者は思います。力をためていた時間が長ければ長い程、数十年後に飛び跳ねた時、その高さは大きくなると思うからです。

 冒頭で述べたとおり、プラチナはさまざまな場面で人生をともにしてくれます(プラチナ会員、プラチナの宝飾品、プラチナ婚など)。とりわけ、これからの「プラチナ積立」は「大器晩成」を実現できる可能性があるため、皆さんの人生の「大器晩成」と歩調が合う可能性があります。

 新社会人の皆さんもプラチナも、目先は忍耐や我慢が必要かもしれませんが、数十年後、ともに、きっと華やかな世界にいると、筆者は思います。積立をしながらプラチナと一緒に苦楽をともにする(プラチナを人生のお供にする)ような感覚で、プラチナ積立をご検討いただいては、いかがでしょうか。

[参考]プラチナに関わる具体的な投資商品例

純金積立・スポット購入

金(プラチナ、銀もあり)

国内ETF

1541    純プラチナ上場信託
1682    NF日経・JPX白金指数連動型

国内商品先物

白金(標準)、白金ミニ、白金スポット