コモディティ(商品)市況は長期高止まりの公算

 こうした「露中北」の東アジアにおける連携強化は、コモディティ市場にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

1.中国が制裁の抜け穴になりロシアは生き残る→西側ではロシア制裁による資源高が続く。

「露中北」の連携が強化された場合、ロシアは西側による制裁下にあっても、生き残ることができます。中国がロシア産の資源(エネルギー、金属、農産物)を世界に販売してくれるためです。

 制裁が続くうちは、世界的なロシア産資源の供給減少懸念が続き、西側で価格が高止まりする可能性があります。中国が高止まりする価格でロシア産の資源(表向きは中国産となる可能性)を世界に向けて販売し、ロシアは一定程度、その利益を享受する可能性があります。

2.中国がロシアと同様の策を講じる→ドル不安定化・金(ゴールド)上昇。

 連携強化に乗じ、中国がロシアと同様の策を講じる可能性があります。自国の輸出品目の出し渋りをしたり、決済通貨を自国通貨に限定したりする、などの策です。

 中国の場合、メインの輸出品目は資源ではなく、電子製品などの加工品ですが、諸外国がこれらの品目を中国から購入する場合、「元」を用立てることが求められる可能性があります。

 こうした動きは、中国をサプライチェーン(供給網)に含めている国にとって、大きな打撃となります(サプライチェーンにおけるさらなる懸念増)。また、人民元の基軸通貨化の足掛かりとなり、米ドル一強体制に風穴があく可能性が浮上します。

 ドルと金(ゴールド)は、「世界お金」という共通項を持つため、ドルの弱体化は、金相場を押し上げる材料になり得ます。

 ウクライナ危機が勃発して1カ月強が経過しました。この間、米露対立が激化するにつれて、対米で志を同じくする「露中北」の東アジアにおける連携強化が進んできたと、考えられます。

 上述の通り、「露中北」の連携強化は、「中国が制裁の抜け穴になりロシアは生き残る→西側ではロシア制裁による資源高が続く」、「中国がロシアと同様の策を講じる→ドル不安定化・金(ゴールド)上昇」などの原因になり得ます。

 リスクは、ウクライナとロシア西部、西側諸国だけでなく、ロシア東部、中国、北朝鮮を含んだ東アジア一帯でも拡大しつつあると考えるのが、妥当でしょう。

 今後も、「露中北」連携強化による、資源(エネルギー、金属、農産物)、金(ゴールド)価格の上昇に気を付ける必要があると、筆者は考えています。

[参考]貴金属関連の具体的な投資商品例

純金積立・スポット購入

金(プラチナ、銀もあり)

国内ETF/ETN

1326 SPDRゴールド・シェア
1328 金価格連動型上場投資信託
1540 純金上場信託(現物国内保管型)
2036 NEXT NOTES 日経・TOCOM金ダブル・ブルETN
2037 NEXT NOTES 日経・TOCOM金ベアETN

海外ETF

GLDM SPDRゴールド・ミニシェアーズ・トラスト
IAU iシェアーズ・ゴールド・トラスト
GDX ヴァンエック・ベクトル・金鉱株ETF

投資信託

ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)
三菱UFJ純金ファンド

外国株

ABX Barrick Gold:バリック・ゴールド
AU AngloGold:アングロゴールド・アシャンティ
AEM Agnico Eagle Mines:アグニコ・イーグル・マインズ
FNV フランコ・ネバダ
GFI Gold Fields:ゴールド・フィールズ

国内商品先物

金・金ミニ・金スポット・白金・白金ミニ・白金スポット・銀・パラジウム

海外商品先物

金、ミニ金、マイクロ金(銀、ミニ銀もあり)

商品CFD(金・銀)

[参考]コモディティ関連の具体的な投資商品例

投資信託

eMAXISプラスコモディティインデックス

SMTAMコモディティ・オープン

iシェアーズコモディティインデックスファンド

ダイワ/「RICI(R)」コモディティ・ファンド

DWSコモディティ戦略ファンド(年1回決算型)Aコース(為替ヘッジあり)

DWSコモディティ戦略ファンド(年1回決算型)Bコース(為替ヘッジなし)

外国株

iPathピュア・ベータ・ブロード・コモディティ(BCM)

インベスコDB コモディティ・インデックス・トラッキング・ファンド(DBC)

iPathブルームバーグ・コモディティ指数トータルリターンETN(DJP)

iシェアーズ S&P GSCI コモディティ・インデックス・トラスト(GSG)