米利上げ0.25%ずつなら、金融緩和的な状況は変わらない

 過去2週間の世界株高のもう1つの背景として、米利上げへの不安がやや緩和したことがあります。3月16日、FRB(米連邦準備制度理事会)は0.25%の利上げを実施しました。利上げ幅が0.5%ではなく、0.25%だったことに市場は安堵しました。これから連続利上げが見込まれますが、それでも0.25%ずつであれば、FF金利は0.25-0.5%、米長期金利が2.48%と、まだ金利水準は低く、かつ長短金利スプレッドが開いた状態なので、米国株は業績相場入りすることができると期待されます。

 ただし、3月21日にFRBのパウエル議長は首都ワシントンで講演し、5月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.5%の利上げを行う可能性を示唆したため、再び利上げが加速する懸念が出ました。これを受けて米長期金利は2.4%台まで上昇し、1ドル=122円台へドル高(円安)が進みました。

米FF金利、長期金利、NYダウ推移:2007年1月~2022年3月(25日)

出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

 7.9%まで上昇した米インフレが心配ですが、米景気が好調で長期金利のスプレッドがまだ開いた状態であることを考えると、米国株がここから大きく下落する可能性は低いと判断しています。