120円は通過点か、それとも要因織り込み済みか?!

 心理的節目である120円を超えたことからプライス達成感が出るのか、あるいは120円は単なる通過点であり、次の節目である125円を目指して円安がさらに進むのか注目です。物価上昇が収まらない限り、円安は続くとの見方もありますが、短期間で進んだ円安要因は相当織り込んだのではないかとの見方もあります。

 FRBは前回12月から3カ月で予想以上にタカ派姿勢が加速しました。利上げ回数は前回12月時点の3回から今年の全ての会合で利上げを行う7回に、利上げ幅については毎回0.25%の利上げが前提の金利見通しでしたが、FOMC後に理事たちから0.5%利上げの可能性の発言が相次ぎ、極め付きは慎重姿勢だったパウエル議長が0.5%の利上げを示唆したことです。

 そしてQTについては、予想より早めの次回5月開始示唆と一気にタカ派の大ナタを振り下ろしました。

 このような前広の大判振る舞いによるショックによって、ドル/円は短期間で5円の円安になりました。金融引き締めという1年分の要因を一気に織り込んだような動きのため、FRBの今年の利上げ要因はかなり織り込まれたのではないかとの見方があります。

 もし、相場に織り込まれたとすれば、今後、毎回利上げをしても予定通りであり、0.5%の利上げをしたとしても、そのことも予定通りであれば円安にはあまり進まなくなる可能性があります。ここからさらに5円進むとなると、これまでと同じ程度のショックを与える円安要因が必要となります。

 しかし、FRBの金融引き締めで今後注目されるのは、QTの金額とペースだけとなりますが、ショック度合いは今回ほど強いものではなさそうです。それよりも、世界景気が減速していく中で、FRBの見通し通りに利上げを毎回実行していけるのかどうかの方が、注目度合いが高まりそうです。

 もし、7回の利上げではなく、年後半に利上げペースが落ちてくると、タカ派姿勢が後退したとみなされ、逆の動きとなるため注意する必要があります。