バッテリー電気自動車の原材料

 次にバッテリー用ニッケルとアルミニウムに目を向けると、これらはバッテリー電気自動車に使われるリチウム電池の素材であり、電池の軽量化に欠かせない。ロシアはニッケルとアルミニウムの主要産出国であるが、プラチナとパラジウムの場合とは違う事情がある。まずニッケルとアルミニウムはコモディティーとしては、市場がより大きく市場参加者の数も多数に上ること。

 さらにロシアに制裁を課していない市場でニッケルとアルミニウムの買い手を見つけることは比較的容易であるということ。これは過去にロシアのアルミニウム生産者に制裁が課せられた時を見ても明らかだ。例えば世界のリチウムイオン電池の77%を生産する中国のバッテリー電気自動車市場は大きく、ロシアの生産を吸収することは難しくない。

 とはいえ、バッテリー用ニッケルとアルミニウム市場が制裁によって中断されることは、世界のバッテリー電気自動車生産とその普及に影響が及び、逆にそれはPGMを消費するガソリン車、燃料電池自動車市場にとっては有利に働くだろう。