今後、投資してみたい金融商品・国(地域)
楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲
今回は、毎月実施している質問「今後投資してみたい金融商品」で、「外国株式」「投資信託」「ETF」を選択した人の割合に注目します。
質問「今後、投資してみたい金融商品」は複数選択可で、選択肢は、国内株式、外国株式、投資信託、ETF、REIT、国内債券、海外債券、FX(外国為替証拠金取引)、金やプラチナ地金、原油先物、その他の商品先物、金先物取引、特になしの13個です。
図:「外国株式」「投資信託」「ETF」を選択した人の割合
2021年12月まで、米国の主要株価指数が長期的な上昇傾向にあったことを背景に、「外国株式」はもとより、同指数に連動する金融商品を有する「投資信託」、「ETF」が人気化していました。
しかし、2022年に入り、同株価指数の動きが不安定化しはじめたことを受け、「外国株式」「投資信託」「ETF」、いずれにおいても、割合は低下しました。2月の調査では、「外国株式」を選択した人の割合は47.9%、「投資信託」は40.0%、「ETF」は32.4%でした。
インフレ(物価高)が進行していること、インフレ進行をきっかけに米国の金融政策が引き締め方向に向かう可能性があること、そして、ロシアがウクライナへ軍事侵攻したこと、侵攻により、各国に深く関わる品目(エネルギーや農産物、金属など)の供給減少懸念が強まり、それらの価格が上昇してインフレが以前にも増して進行していることなど、枚挙にいとまがない「懸念」を受け、株式市場は不安定化しています。
直近のピークとなった2021年12月は、「外国株式」が52.4%、「投資信託」が45.7%、「ETF」が40.5%でした。これらを基準にすると2月は、「外国株式」は4.51%低下、「投資信託」は5.76%低下、「ETF」は8.08%低下しました。
株価指数が不安定化する直前の2021年12月をピークとし、いずれも低下しているわけですが、低下の程度(低下率)に注目すると、「ETF」、「投資信託」「外国株式」の順に、高くなっていっていることが分かります。
「ETF」と「投資信託」では、株価指数に連動する設計になっている(厳密には連動を目指す)金融商品が特に人気化していたため、株価指数の不安定化が直接的に投資家心理を冷やし、投資を手控えようという動きが出やすくなった可能性があります。
今後も、株価指数の動向をにらみながら、「今後投資してみたい金融商品」における「ETF」「投資信託」「外国株式」の動向に、注目していきたいと思います。