こぶしを振り上げ続ける各国 状況改善見えず

「こぶしを振り上げる」とは、たとえです。

「欧米」と「ロシア」、二者いるとして、彼らの軍事侵攻直前から足元までの、主なやり取りを書いてみました。欧米側はロシアを非難したり制裁をしたりする姿勢を強めています。

 この点は、欧米側の「こぶしを振り上げること」です。一方、ロシア側は軍事侵攻の手を緩めていません。この点は、ロシア側の「こぶしを振り上げること」です。

図:軍事侵攻直前からの欧米とロシアの主な発言

出所:筆者作成

 争いが起きた時、どのような過程を経て鎮静化に達するでしょうか。1.片方が片方に屈服する、2.片方が片方を完全に凌駕(りょうが)する、3.第3の選択を見いだして意識をそらし、直接的な争いから離れる、4.お互いが歩み寄る、などが挙げられます。

 では現在の「欧米」と「ロシア」の関係は、4つのうち、どれに当てはまるでしょうか。どれにもあてはまりません。争いに決着がついていない(1でも2でもない)、他の選択がもたらされていない(今のところ、国連などが入る余地がほとんどない)、お互い「こぶし」を振り上げ続けており、歩み寄る気配がないためです。

 4の「歩み寄り」は問題解決のために、欠かせない過程ですが、今の「欧米」と「ロシア」は、上図のとおり、自らの意図(欧米であれば非難・制裁、ロシアであれば軍事侵攻)を拡大させており、「歩み寄り」とは全く逆の方向を向いています。

 欧米は、欧米や世界全体がダメージを受けることを覚悟で、ロシア経済の柱であるエネルギー産業への制裁を急激に強化しています(こぶしを振り上げ続けている)。

 ロシアもロシアで、3つ目の原発を占拠する方針を打ち出しているとの報道があるなど、軍事侵攻の手を緩める気配がありません。ウクライナとの停戦合意に向けた会合も、ウクライナが完全に軍事活動を停止しないかぎり、進展しないとしています(ロシア側もこぶしを振り上げ続けている)。

 こうした状況のため、目下発生している争いは、まだ継続する可能性があります。すなわち、目先しばらく、各種「ウクライナ情勢関連銘柄」は、欧米側がロシアを銀行決済機構から排除することを決めた直後から動いている方向と同じ方向に推移する可能性がある、ということです。