戻りを仕掛けるタイミングはいつ?

 続いて、先ほども述べた「株価の戻りが長続きしにくそうなこと」についてもみていきます。これについては、前回のレポートでも説明した、戻りを仕掛けるタイミングで考えてみたいと思います。

(図3)日経平均(日足)とMACDの動き(2022年3月11日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 前回のレポートでは、上の図3のように、5日移動平均線が25日移動平均線を上抜けたところ、要は「ゴールデン・クロス」後で買いを仕掛けるというものです。

 もちろん、株価が25日移動平均線を上抜けたら仕掛けるという方法もありますが、不透明感が強い相場地合いの中ではダマシとなる可能性も高いため、少しサインが出るのが遅い5日移動平均線を用いるという考え方です。さらに、下段のMACD(移動平均収束拡散手法)のクロスも組み合わせるのも良いかもしれません。

 実際に、過去の相場を振り返ると、2020年のコロナ・ショック時も、5日と25日移動平均線のゴールデン・クロス達成後に、株価が順調な戻り基調を描いていきました(下の図4)。

(図4)コロナ・ショック時(2020年)の日経平均(日足)とMACDの動き

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 コロナ・ショック時の株価の底値が3月19日の1万6,358円で、5日と25日移動平均線のゴールデン・クロスが達成されたのは4月9日になります。

 結果論でいえば、3月の安値で買えば良かったのですが、その後の値動きを見ると、株価の上げ下げが激しい状況が続いており、その当時にうまく取引できたかどうかは微妙です。反対に、ゴールデン・クロス後の株価は安定的に上昇していたほか、さらに75日移動平均線とのゴールデン・クロス後には株価の上昇に勢いがついています。

 ある程度の上昇基調や落ち着きを見せないと、5日移動平均線も上向きになりにくいため、日々の値動きで勝負しないのであれば、じっくりと仕掛け時を待つのも悪くないと思われます。図4のパターンは、株価が急落した後の急反発が比較的短い期間で実現した時に有効となることが多いとされています。

 もちろん、足元の株価急落がこの図4のパターンに当てはまらないことも想定しておく必要があります。