良好な米国の決算発表と業績見通し

 上述のようなリスク要因が混在する一方、米国のファンダメンタルズ(業績見通し)は比較的良好です。実際、2021年10-12月期を中心とする企業決算発表については、S&P500指数の構成銘柄(500社)のうち401社がすでに決算を発表しました。

 売上高合計は前年同期比で+16.7%の増収、純利益合計は同+28.2%の増益で推移しています(2月16日時点/Bloomberg集計)。また、事前の市場予想平均に対して売上高合計は+3.3%、純利益合計は+6.3%のポジティブサプライズ(予想を上回った決算)となっています。

 図表4は、過去10年にわたるS&P500指数ベースの12カ月先予想EPS(1株当たり利益/市場予想平均)を示したものです。2020年春のコロナ危機で大きく落ち込んだ後は回復基調に転じ、2022年に入っても業績見通しは拡大傾向。直近の予想EPSは224.82ポイントとなっており、12カ月累計実績EPSに対し+16.9%の増益が見込まれています。

 市場が織り込みつつある金利上昇を前提に予想PERが変わらないとしても、S&P500指数が年末までに10%前後上昇していく業績相場シナリオには合理性があると考えられます。3月15~16日のFOMCでの利上げ決定に向け、今後も債券市場は変動しやすいと予想され、短期目線ではウクライナ情勢を巡る不透明感も拭いきれません。

 ただ、金利動向や地政学的リスクを巡るイベント通過(消化)を契機に、市場がファンダメンタルズの底堅さを見直し、株価は値固めと日柄整理を経て徐々に戻り歩調に転じる可能性はあると考えています。

 中長期の目線で振り返ると、最近の波乱相場が「金融相場(流動性相場)から業績相場への転換点だった」ことが確認されると見込んでいます。これまでと同様に、「押し目買いや積み増し買いに分があり」との投資戦略に変更はありません。

図表4:S&P500指数の業績見通しは拡大傾向

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2011年初~2022年2月16日)

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