予想通りFOMCは金融政策のタカ派転換を表明

 1月の世界株式は、2020年春に経験したコロナ危機以来の調整に見舞われました。米金融政策の早期正常化を織り込む債券利回り上昇、オミクロン感染拡大による景気の先行き不透明感、ウクライナ情勢の緊迫化で米国株が下値を模索。投資家のリスクオフ(回避)姿勢が波及し、ビットコインなど仮想通貨も大幅調整に追い込まれました。

 今週注目されていたFOMC(米連邦公開市場委員会:25~26日)は、市場がおおむね事前に予想していたとおり、
(1)QE(資産購入)は3月で終了する
(2)利上げは3月をめどに開始する
(3)QT(バランスシート縮小)は利上げ後に開始を検討する

との金融正常化方針を示唆しました。

 図表1は、1985年以降のPCEコア価格指数の上昇率(FRB:米連邦準備制度理事会が最も注視するインフレ指標)、長期債金利(10年国債利回り)、短期債金利(2年国債利回り)、政策金利(FF金利の誘導目標上限)の推移を示したものです。

 FRBが当初予想していた以上に高まってきたインフレとFRB高官の発言で、当局がタカ派に転じる動きを織り込み(政策金利の先行きに敏感とされる)短期債金利は1%に達し「2022年中に4回程度の利上げ」を想定。長期債金利も1.8%台まで上昇しました。

 国際商品市況の上昇と供給制約を主因とする特殊な環境が背景にあるとはいえ、金融当局としてインフレの高進を見過ごすわけにはいかず、金融政策の転換を急がざるを得なくなってきた状況がみてとれます。

<図表1:FRBはインフレ抑制を主目的に金融政策を転換>

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(1985年初~2022年1月26日)