インフレのトレンドを取り込む資産運用戦略

 FRBが当初「一時的(過渡的)」と評価していたインフレ(物価上昇率の加速)高進が明らかとなるなか、その主要因の一つとして国際商品市況の上昇基調が挙げられています。

 図表3は、商品価格の総合的な動向を示すS&P GSCI商品指数、米国株式指数(S&P500)、米国債券指数のパフォーマンスを比較したものです(2021年初=100)。

 S&P GSCI商品指数は「S&P GSCI コモディディ・インデックス」とも呼ばれ、ゴールドマンサックス社が開発した商品指数をS&Pダウ・ジョーンズ社が引き継いで算出・公表しているもので、世界のコモディティ(商品)市場全体の動きを表す商品指数として知られています。

 同指数は、原油を中心とするエネルギー、産業用メタル、貴金属、農産物、畜産物などの主要セクターからの24種類の商品先物で構成されており、世界における商品生産量の時価総額加重指数となっています。

 同指数は、需給の引き締まりを反映して昨年の高値を上回る堅調トレンドを示しており、最近の物価上昇加速が「Commodity Driven Inflation」(商品市場が先導するインフレ)と称される状況を象徴しています。こうした「実物資産」をベースにしたインフレ動向を資産運用に組み入れるポートフォリオ戦略にあらためて注目したいと思います。

<図表3:商品価格、世界株式、世界債券のパフォーマンスを比較する>

*2021年初を起点に商品価格指数、米国株式指数(S&P500)、米国債券指数の推移を比較したものです。
(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年初~2022年1月26日)

 図表4でご紹介する「iシェアーズS&P GSCIコモディティ・インデックス・トラスト」(ティッカー:GSG)は、上記した商品指数に連動を目指す米国籍ETF(上場投資信託)です。そのパフォーマンスは米国株式や米国債券に対して堅調を鮮明にしていることがわかります。

 商品市場への投資は「オルタナティブ投資」(伝統的な資産に代替する投資戦略の一つ)と呼ばれますが、GSGに投資することで幅広い商品市場に手軽に分散投資することができます。

 GSGの一口当たり取引価格は現在18ドル台で、邦貨換算で2,000円程度から商品市場への分散投資が可能となります(26日時点)。こうして最近のインフレを主導する商品市場のトレンドをポートフォリオに組み入れることにより、運用資産全体のリスク調整後リターンを改善させることが可能となる点に注目したいと思います。

<図表4:商品価格連動型ETFのパフォーマンスに注目>

*2021年初を起点に商品価格指数、米国株式指数(S&P500)、米国債券指数の推移を比較したものです。
*上記は参考情報であり、特定の投資商品を推奨するものではありません。
(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年初~2022年1月26日)

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