鉄則1:波に乗る

 東証マザーズ市場(4月よりグロース市場)は、東京証券取引所が1999年11月に開設した「新興企業向けの株式市場」です。他の株式市場との違いは、上場基準が大幅にゆるいことです。赤字のままでも上場することができます。創業して間もない新興企業でも、マザーズの上場基準を満たせば、上場できることがあります。新興企業に早く上場させて、成長するための資金を調達する道を開くことが目的でした。

 こうした背景から、東証マザーズ・グロース株への投資は、高リスク高リターンです。期待された成長が実現せず、暴落して上場廃止になる銘柄もあるし、急成長して株価が何倍にも跳ね上がる銘柄もあります。

 さて、このようなマザーズ・グロース株に投資する時、一番大切なことは何でしょうか?

 ほんものの成長株をみきわめる銘柄選択力?……違います。銘柄選択力は重要に違いありませんが、それは一番大切なことではありません。一番大切なことは、波に乗ることです。私がファンドマネジャーをやっていた2013年までのマザーズ市場はそうでした。2014年以降もその傾向は変わっていません。以下、東証マザーズ市場の2016年以降の推移をご覧ください。

東証マザーズ指数の月次推移:2016年1月末~2022年2月14日

出所:QUICKより作成

 ご覧いただくと分かるとおり、マザーズ市場には、大きな波があります。2018年1月から2020年2月にかけて、東証マザーズ指数は半値以下に下がっています。ひたすら下げまくる市場でした。このような時は、どんなに一所懸命いい銘柄を見つけて投資してもダメです。いい銘柄も悪い銘柄も、なんでも売られるからです。下げが加速してきたら「三十六計、逃げるにしかず」。ホンモノの成長株かニセモノの成長株かを考える前に、いったん売って頭を冷やした方が良いです。

 逆に、上昇の波に乗るとおもしろいように儲かるのも東証マザーズ株です。2020年3月から2021年2月までご覧ください。マザーズ指数は2倍以上になっています。こんな時は、いい銘柄も悪い銘柄も上がります。買った途端に、株価が急騰してあっという間に2倍になっても、それがホンモノの成長株かどうかは分かりません。ただ波に乗っただけかもしれません。

 そして、2021年2月以降、再び、なんでもかんでも売られる流れに戻っています。昨日(2月14日)マザーズ指数は1日で4.5%下げました。マザーズ株を売って、東証一部の大型バリュー株へ乗り換える動きが加速していると考えられます。