2月のBTC相場予想

FRBがタカ派な理由

 なぜそこまでFRBがタカ派なのかと言えば、CPI(消費者物価指数)が7%に達しているからだ。

 経済学の世界では、金利の影響は名目金利でなく実質金利で測るべきとされる。7%のインフレを抑え込むのに、仮に政策金利を2%にしても実質金利はマイナス5%なのでインフレ上昇にプラスに働いてしまう。

 市場は今のところ年内で0.25%の利上げを5回織り込んでいるが、理論上は1.25%の利上げなど焼け石に水と言わざるを得ない。

 とはいえ、突然政策金利を7%以上にしたら借金が返せなくなる人や会社が激増し、経済どころか社会が持たない。

 このように、このゼロ金利下での高インフレにFRBはなす術がないのだが、そんなことを市場に悟られると、ドルの信用が毀損(きそん)して、さらなるインフレ(≒ドルの目減り)を招きかねない。

 そこでFRB高官たちはポーカーフェースを決め込みつつ、山火事を前になす術がない指導者のように、このインフレを祈るような気持ちで見つめているのだろう。

 前出のように市場の織り込みは年5回1.25%の利上げだが、FRBはもっと利上げが必要だと考えている可能性が高い。そうした中、市場にはしばらくリスクオフの圧力がかかり続ける可能性が高く、BTC相場の重石(おもし)となろう。

【グラフ4】2月のアノマリーを比較検証(2011年1月~2022年12月の月中当落率((当月末価格÷前月末価格)-1)を%で表示)

出所:Bloombergより楽天ウォレット作成

 上図はBTCの月別の上下を色分けしたもの。各月の最上段に月別の騰落を示している。1月なら今まで12年間で6回上がって、5回下がっているから、6勝5敗、勝率55%となる。

 これを見て分かるのは、1年の中で2月と4月が強いことだ。4月は、日米の納税シーズンが重なる3月のパフォーマンスが悪い反動とも言える。

 一方で2月は比較的中国の春節と重なることが多く、同時期は同国に集まるマイナーの売りが一服しやすいことが好パフォーマンスにつながっている可能性がある。

 もしそうならば、中国からマイナーがシフトした今年はその影響を受けにくいかもしれない。しかし、12月、1月にこれだけ下がった後だけに、多少反発しても不思議はないし、少しは市場心理も明るくなるだろう。

2月のBTC相場予想

 まとめると、FRBのタカ派姿勢に米株もBTCも1月に大きく下げた。すでに3月の利上げは織り込んでおり、若干反発しても不思議ではない。ただし、株が大きく上昇し、リスクオンに傾けば、FRBは3月の50bp利上げなどを織り込みにきて、その結果、リスクオフ相場に逆戻りといった展開を続けかねない。

 従って、2月のBTC相場は若干反発しそうだが、上値は限定的。4万ドルはなんとか回復するが、今回の下げの半値戻しとなる5万1,000ドルや200日移動平均線が横たわる4万9,000ドル近辺で上値を抑えられる展開を予想する。