1月、BTCが下落した理由

 1月の相場の下げた理由は2つ考えられる。1つは昨年11月に史上最高値を更新した上昇トレンドの終焉(しゅうえん)だ。

【グラフ2】BTC USD:ロウソク足と移動平均線(2021年11月~2022年1月)

出所:Bloombergより楽天ウォレット作成

【グラフ2】はドル建てのBTC相場と50日100日200日のMA(移動平均線)だ。12月に50MAが100MAを、1月には50MAが200MAを下抜け、同時に、もしくは少し間をおいて、BTC相場も下げている。

 これらは移動平均線のデッドクロスと言って、強い売りサインで、自己実現的に相場を動かす場合もあるが、デッドクロスが原因で相場が下がったと言いたいわけではない。

 むしろ、これらのデッドクロスが発生した際には、ダマしでないか、いやMAが下を向いていないから下がらないといった声も聞かれた。そうした、まだ上昇トレンドが続いているのではないかという市場の希望が打ち砕かれていった、そういうロングポジションが一掃される下げだったといえよう。

【グラフ3】米利上げ織り込み回数とBTC相場(2021年11月~2022年1月)

出所:Bloombergより楽天ウォレット作成

 もう1つは、下げ止まらないインフレを受けたFRB(米連邦準備制度理事会)のタカ派姿勢だ。上図はBTC相場と2022年1月時点で何回利上げが織り込まれているかを示すグラフだ。

 これを見ると昨年11月のテーパリング開始時点では2回程度だった織り込みが、1月末にはほぼ5回にまで達している。それどころかテーパリングとバランスシート縮小とをほぼ連続で実施するつもりではないかと心配されている。

 これがどれほど異例かといえば、前回のテーパリング開始は2013年12月で、バランスシート縮小開始は2017年10月と両者は4年開いていた。加えて毎FOMCで連続利上げの可能性までささやかれ始め、まさに盆と正月とが一度に来たような近年まれにみる金融引き締め姿勢だ。