エヌビディア(NVDA)

 1993年の創業以来、主にゲーミングPCで採用されている計算能力の高いGPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)を提供する世界トップクラスの半導体メーカーです。

 現在では携帯やスマホに、自動運転車両やロボット、AIや機械学習向けの製品など、高性能の処理を求めるニーズが高まったことで、一般的にも注目を浴び始めた企業です。

 時価総額は6,079億ドルで、日本円で約70兆円となっています(1USD=115円計算)。

事業の注目ポイント

 2021年11月17日開示の第3四半期決算によると、四半期売上高は約8,168億円(7,103M$)でした。

 事業別の売上は「ゲーミング事業(Gaming)」が約3,700億円(3,221M$)で、続いて「データセンター事業(Data Center)」が約3,376億円(2,936M$)、「専門家向けクリエイションリソース事業(Professional Visualization)」が約663億円(577M$)、「オートモーティブ事業(Auto)」が約155億円(135M$)、「OEM&その他事業(OEM & Other)」が約269億円(234M$)、となっています。

 エヌビディアは、高速処理が必要とされるAIや自動運転、機械学習などのイメージが強くなっていますが、売上の半分近くは従来から事業の中心である「ゲーミング事業」の分野が占めています。それに加えて、「データセンター事業」が急成長しています。

 ゲーミング分野での圧倒的なシェアと、超高速処理にはエヌビディアのGPUが必須と言われるほどの高い技術力が同社の強みです。

業績動向

 同四半期決算によると、ゲーミング事業およびデータセンター事業は、四半期および通年の両方で過去最高の売上高となりました。四半期売上高は過去最高となり、前年度より50%増加、ゲーミング事業の売上高は前年度より42%増、データセンター事業の売上高は前年度より55%増となりました。

 創業者兼CEOであるジェンスン・フアン氏は、「第3四半期の業績は、売上高が過去最高を記録し、素晴らしい結果となりました。NVIDIA AI の需要は、ハイパースケールおよびクラウドのスケールアウトにけん引されて急増しており、2万5,000 社以上の企業に採用されています」と述べています。

 次回2022年2月16日に開示予定の第4四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。

初心者が取引する際に見ておくべき点や注意点

 現在から将来においても注目テーマである「DX、AI、自動運転、機械学習」など必要となる高度な演算を可能とする半導体チップでエヌビディアは外せない存在となっています。

 しかし、一概に半導体関連銘柄といっても、その役割や得意分野はまちまちです。将来性を感じやすい分野であることから、何となく買付している方がいますが、銘柄選定によって差が出やすい分野でもあります。

 また2022年1月末には、米半導体大手エヌビディアは、ソフトバンクグループからの英半導体設計会社アーム買収計画を取り下げる準備をしていると報道がありました。こちらはすでに独禁法の問題で、買収が難しいことが従来から予想されていますが、注意は必要です。

株式の注目ポイント

 株価はコロナショック以降にも大きく上昇し、2021年11月17日に発表した2022年度第3四半期(8-10月)で売上高が好調だった頃から、一時は2021年初比で250%超まで上昇しました。

 しかし、米国で金融引き締め懸念を背景にした成長株売りに伴い、同社株式も高値から30%程度下落しています。半導体関連でも特に注目の銘柄であることから、値動きが大きくなりやすい傾向がありますので短期的な売買には注意が必要です。

 とはいえ、エヌビディアの中心事業分野であるゲーミングには、マイクロソフトやネットフリックスも参入し始めました。また今後も高速演算処理の半導体は年々ニーズが増え続ける状況にあることから、大きく調整しているこのタイミングで検討してみてはいかがでしょうか。

株価動向

株価:243.19ドル(約2万7,970円)
配当金:0.16ドル
配当利回り:0.07%

 この銘柄の権利落ち日は3月上旬の予定(権利実施は3月下旬予定)です。予想配当利回りは2月4日時点で0.07%、株価は243.19ドルでおよそ2万7,970円から購入できます(1USD=115円計算)。

 2019年からの最高値は333.76ドル、最安値は32ドルとなっています(終値ベース)。

 配当利回りを期待する銘柄ではありませんが、成長性が魅力的です。半導体分野の潮流に乗りたい人にとっては、今後も必須の銘柄といえるでしょう。

 

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