マイクロソフト(MSFT)

 アメリカ合衆国ワシントン州に本社を置き、パソコン用のOS「Windows」とビジネス向けソフトウエアの「Office」で、OSとビジネスソフトで圧倒的シェアを誇るソフトウエア企業です。

 S&P500の組入銘柄でアップルの次に比率が高く、約6.0%を占めています。時価総額は2兆2,935億ドルで、日本円で約263兆円となっています(1USD=115円計算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は、「企業向け製品&サービス事業(Productivity and Business Processes)」、「クラウド・サービス事業(Intelligent Cloud)」、「個人消費者向け製品・サービス事業(More Personal Computing)」となっています。

 2022年1月25日に発表された第2四半期決算によると、四半期売上高は、約5兆9,500億円(51,730M$)でした。カテゴリー別の内訳は「企業向け製品&サービス事業」が約1兆8,300億円(15,936M$)、「クラウド・サービス事業」が約2兆1,000億円(18,327M$)、「個人消費者向け製品・サービス事業」が約2兆円(17,465M$)となっています。

「企業向け製品&サービス事業」では、ワード、エクセル、PPTなどのビジネス分野で使用頻度の高いソフトウエアをまとめたOffice・Office365を提供しています。

「クラウド・サービス事業」では、サーバーやクラウド事業を行なっており、特に市場の注目度が高いのがAmazon.comが提供しているAWS(Amazon Web Servicesの略、現在クラウドコンピューティングの分野で首位を走っている)を猛追し勢いのある「Azure(アジュール)」で、市場からも注目視されています。

「個人消費者向け製品・サービス事業」では、Windows OSのライセンス収入に加えて、Surfaceなどの携帯端末、Xboxなどのゲーミング製品、検索エンジンBingからの広告収益など、個人消費者に近い分野の事業です。

業績動向

 同四半期決算によると、クラウド・サービス「Azure」を含む最大部門インテリジェントクラウドの売上高は26%増、業務用ソフト「Office365」などを手掛ける部門の売上高も19%増となりました。

 今後も企業向けクラウド事業の成長が力強く続いていくと予想されており、競合のアマゾン・ドット・コムやアルファベット傘下グーグルの動向も注目されています。

 1月18日に発表された690億ドルのアクティビジョン・ブリザード買収案が完了すれば、これまで停滞していたゲーム部門(Xboxのコンテンツやサービス)の収益を押し上げられると想定されています。また、メタバース(巨大仮想現実空間)への取り組みも広げています。

初心者が取引する際に見ておくべき点や注意点

 マイクロソフトというと、OS「Windows」とビジネス向けソフトウエア「Office」などの確固たるビジネス基盤のイメージが非常に強いと思います。

 しかし現在では、快進撃を担うクラウド・サービス「Azure」が台頭し、さらに2016年に約3兆円で買収したビジネス向けSNS(交流サイト)の「LinkedIn」や「Xbox software」、インターネット通話サービス「Skype」、ソフトウエアの開発プラットフォーム「GitHub」などの巨額の買収を繰り返し、高いシナジー効果を発揮しています。

 身近すぎる企業やサービスには、従来の印象にひきずられがちですが、巨大企業であってもビジネスモデルや収益構造は変化していきます。

 一時はGAFA(ガーファ、Google、Amazon、Facebook、Appleの米国IT企業大手の略)に押されて落ち目といわれたマイクロソフトが復権したように、過去のイメージではなく、現在と将来の企業成長を確かめることが重要です。

株式の注目ポイント

 コロナショックによりマイクロソフト株の株価は大幅下落しましたが、わずか2カ月後の2020年の5月には暴落前水準まで回復しました。

 コロナ禍で多くの企業の業績が悪化する中、テレワークや通信授業への移行でクラウド・サービス利用が増えており、この後も「Azure」や職場向けチャットアプリ「Teams」の拡大が期待されます。

 それに伴い株価も好調で、2021年10月29日にはアップルの時価総額を抜いて、1年4カ月ぶりに首位交代(現在は2位)ともなりました。

株価動向

株価:305.94ドル(約3万5,180円)
配当金:2.48ドル
配当利回り:0.81%

 この銘柄の権利落ち日は2月16日(権利実施は3月10日)です。配当利回りは2月4日時点で0.81%、株価は305.94ドルでおよそ3万5,180円から購入できます(1USD=115円計算)。

 2019年からの最高値は343.11ドル、最安値は97.40ドルとなっています(終値ベース)。

 株価が上昇し続けているため、配当利回りは高くありませんが、継続した増配や積極的な自社株買いを実施しており、巨額の株主還元策も株価をささえている要因となっています。