ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)

 創業以来、人々の「クオリティ・オブ・ライフ(QOL)」の向上を目指し、世界60カ国に250以上のグループ企業、そして総従業員数約12万7,000名の「世界最大級のヘルスケアカンパニー」です。主に、消費者向け製品、医療機器、医薬品の分野で数万アイテムに上る製品を提供しています。

 NYダウ(ダウ工業株30種平均)やS&P500に採用されており、時価総額は4,518億ドルで、日本円で約51兆円となっています(1USD=115円計算)。

事業の注目ポイント

 ジョンソン・エンド・ジョンソンは、社内カンパニー制により3つの事業分野でビジネスを展開しています。

「バンドエイド」、「ジョンソン」ベビー製品などの消費者向け製品を扱うコンシューマーカンパニー、医家向けの医療機器、医療関連製品などを扱うメディカルカンパニー、そして使い捨てコンタクトレンズ「アキュビュー」を扱うビジョンケアカンパニーの3カンパニーがあり、それぞれが分社分権経営により運営されています。

 なお、日本国内における同社では、医薬品部門をヤンセンファーマ株式会社が担っています。

 事業の中心は、「消費者向け製品事業(Consumer)」、「医療用医薬品事業(Pharmaceutical)」、「医療機器事業(Medical devices)」となっています。2022年1月25日に発表された第4四半期決算によると、四半期売上高は、約2兆8,520億円(24,804M$)でした。

 事業分野別の内訳は「消費者向け製品事業」が約4,200億円(3,657M$)、「医療用医薬品事業」が約1兆6,430億円(14,288M$)、「医療機器事業」が約7,880億円(6,859M$)となっています。

「消費者向け製品事業」では一般消費者向けに幅広くヘルスケア商品を展開しており、なじみ深い商品には「LISTERINE」「AVEENO」「BAND-AID」「DR.CI:LABO」などがあります。

「医療用医薬品事業」はジョンソン・エンド・ジョンソンの中心的な事業で、「(免疫学(Immunology)」「感染症(Infectious Diseases)」「神経科学(Neuroscience)」「腫瘍学(Oncology)」「循環器系、代謝系(Cardiovascular and Metabolism)」「肺高血圧症(Pulmonary Hypertension)」の6つの治療領域に対して、薬剤などを提供しています。

「医療機器事業」では、外科手術や整形外科などで用いられる医療用機械を扱っています。病院や卸売業者、小売業者に直接販売されて、市中の病院やクリニックなどで使用されています。

業績動向

 同四半期決算では、売上高は市場予想を下回りました。コロナ禍で、手術や診療が延期されたことによる医療機器の販売減がまだ回復途上にあることや、スキンケア・化粧品など消費者向けの商品において米国で供給制約の影響を受けた結果ですが、2022年ではコロナ禍の影響から回復するとの見通しを出しています。

初心者が取引する際に見ておくべき点や注意点

 一般消費者向け商品の印象が強い同社ですが、他にも医療プロフェッショナル向けの商品も扱っています。むしろ、医薬品や医療機器分野が売上の8割以上を占めていることからも、どちらが株価への影響が大きいかは一目瞭然でしょう。

 長期にわたって売上も安定していることからも魅力的なブランドを保持し、高いマーケティング力を生かしていることがわかります。しかし、逆にいえば成長性という面では物足りなさがある点は否めません。

 将来性に期待するよりも、長期的に安定した利益を生み出す優良企業へ投資をしたい人にとっては魅力的な企業ではないでしょうか。

株式の注目ポイント

 同社は配当銘柄として有名で、連続増配を58年以上にわたって実施しています。

 コロナショックによりジョンソン・エンド・ジョンソン株の株価は2割程度下落しましたが、翌月の2020年4月には下落前水準まで回復しました。「ステイホーム銘柄」としてすぐに買い戻しが入り、その後一時的に下落する場面もありましたが、安定した業績を背景に緩やかに上昇しています。

 同社もワクチン開発に成功しましたが、CDC(米疾病対策センター)の諮問委員会が2021年12月16日に、「J&J製ワクチンの利益とリスクを検討し、全会一致でファイザー製やモデルナ製の接種を推奨する」と決め、CDCがこの決定を支持しました。

 このため、新型コロナウイルスワクチンの2022年の売上高は前年比46%増の最大35億ドルに達すると予想されていますが、ファイザー製(290億ドル予想)やモデルナ製(185億ドル)に比べて大きく出遅れる結果となりました。

 この点からもワクチン関連での売上よりも、医薬品・医療機器セグメントに注目しておくべきでしょう。

株価動向

株価:171.63ドル(約1万9,740円)
配当金:4.24ドル
配当利回り:2.47%

 この銘柄の権利落ち日は2月18日(権利実施は3月8日)です。配当利回りは2月4日時点で2.47%、株価は171.63ドルでおよそ1万9,740円から購入できます(1USD=115円計算)。

 2019年からの最高値は179.47ドル、最安値は111.14ドルとなっています(終値ベース)。

 安定した配当利回りと業績が魅力な銘柄です。長年継続している増配や自社株買いを実施しており、景気動向に左右されにくい銘柄として長期保有したい方に向いているでしょう。