「金融相場から業績相場への移行期」の見方を継続

 現在の世界株安の解釈に2つあります。

【1】メインシナリオ:金融相場から業績相場への移行期

 2022年も世界景気は巡航速度での拡大が続く(下記、IMF:国際通貨基金の世界経済見通しを参照)。ただ、インフレ高止まりを受けて、これまでの株高を支えてきた米国の大規模緩和は継続不可能に。FRBが引き締め姿勢に転じたため、世界的な株のショック安が起こっている。

 ただ、いずれ世界景気の拡大にともなう業績拡大を受けて、世界的に株が見直される局面が来る可能性がある。TOPIX(東証株価指数)の予想PERは14.3倍まで低下、割安と判断。

IMFの世界経済見通し:2022年1月

出所:IMF

【2】リスクシナリオ:世界景気失速

 中国に加え、米国の景気も失速。それを織り込んだ株安が起こっているという解釈。米中景気失速に加え、日本の景気も腰折れすると、日経平均はさらなる下値を試すことになる。

 メインシナリオでは、今が買い場という判断になります。ただし、リスクシナリオでは、もう少し待って、さらに下がってから買い出動した方が良いという判断になります。これから出てくる、10~12月の日米企業業績や1月の米国景気指標などを見ながら考えていくことになります。

 いずれにしろ、長期投資の視点にたてば、日本株は割安で買い場を迎えているという判断は変わりません。インフレ・金利高が追い風となるINPEX(1605)、三菱UFJ FG(8306)、三菱商事(8058)などの買い判断を継続します。

<参考>2013~2014年のテーパリング・ショック

 今の世界株安について、昨年11月からFRBが始めているテーパリングのネガティブ効果がじわじわ出てきていると見ることもできます。

 参考までに、前回FRBがテーパリングを検討し、実際に実施した2013~2014年の日経平均の動きを振り返ります。

2013~2014年の日経平均、NYダウの動き比較:2012年末~2014年末

出所:QUICKより作成、2012年末の値を100として指数化

 ご覧いただくとわかる通り、テーパリングがらみで3回世界株安が起こっています。

【1】2013年5月:バーナンキ・ショック。当時FRB議長だったバーナンキ氏が「将来テーパリングが必要」と発言しただけで、世界株安が起こった
【2】2014年1月:テーパリング開始。米景気が一時的に失速、アルゼンチンなど新興国通貨不安など重なる
【3】2014年10月:テーパリング完了=量的緩和第3弾(QE3)終了。エボラ出血熱・欧州景気減速への不安など重なる

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