「下げ相場」と気づいたときにはもう手遅れの可能性が高い

 なぜ多くの個人投資家が、株価が下がってもそのまま株を持ち続けているのでしょうか? 

 その理由はいくつかあると思いますが、根本的な原因として、「下げ相場になったことに気がついていないから」という点が大きいのではないかと筆者は思っています。

 特に長期間続いた上げ相場から本格的な下げ相場に転じるタイミングが、極めて危険であると感じます。

 なぜなら、上げ相場の間に訪れていた調整局面に我慢して保有株を売らずに持ち続けた結果、株価は反発して再度順調に上昇する…という経験を何度も何度も繰り返しているからです。

 そのため、本格的な下げ相場に入ってもしばらくは、今までと同様、「しばらく我慢して持っていればそのうち戻るだろう」と無意識のうちに思ってしまうのです。

 ところが本格的な下げ相場に入ると、我慢して持っていればいるほど株価がどんどん下がります。「あれ?今までと違う!おかしい!!」と感じたころにはすでに株価は大きく下落していて、すでに手遅れとなってしまうのです。

 最近の成長株の大きな下落にもかかわらず、個人投資家の多くが売れずに持ち続けてしまっているのは、まさにこの状況に陥っているからです。

手遅れにならないためにはどうすればよいか?

 このように、「いつもとは違う!!」と気がついたころには手遅れになってしまうので、その前に対処しておかなければなりません。

 そのために筆者が行っているのがまさに「移動平均線ルール」なのです。筆者は保有株が明確に25日移動平均線を割り込んだら売却しています。

 実は25日移動平均線を割り込んだだけでは、それが本格的な下げ相場なのか、単なる一時的な調整局面なのかは分かりません。

 でも、もし本格的な下げ相場の入口であったとしたら、25日移動平均線割れで売却することにより、下落の初期段階で保有株を売ることができます。その後本格的な下げ相場が実際に到来したとしても、すでに保有株は売却済みなので、損失を回避することができます。

 逆に、単なる一時的な調整局面だったとしたら、再度株価は上昇に転じるでしょうから、その際に買い直せばよいのです。

 このルールにより、本格的な下げ相場が到来したとしても、下落の初期段階で保有株を売却することができますし、単なる一時的な調整であったとしても、再び買い直すことで対応が可能です。

 筆者の投資手法が「下げ相場にめっぽう強い」のは、下げ相場の初期段階で売却できるようなルールを決め、それを実行しているからなのです。