結局、全面安に転じた日本株
前回のコラムにて、2022年初頭の日本株の変化として、「成長株売り、割安株・景気敏感株買い」の動きを指摘し、実際に筆者もそれに従って割安株や景気敏感株へ投資しました。
しかしその後、結局は割安株や景気敏感株も売られ、日本株は全面安となってしまいました。
日経平均株価は2万7,000円近辺に非常に強い節目があり、2021年以降ずっとこの水準を守っています。
そのため今回もこの水準で下げ止まるのではないかと期待はしていますが、もし2万7,000円近辺で下げ止まらないとすると、いよいよ本格的な下落局面に入るかもしれないと感じています。
さらに足元では、米国株も下落を続けていて、世界同時株安になってしまうのではないか、という雰囲気さえ漂い始めています。
そこで今回は、もし本格的な下げ相場になった場合に備えて、あらかじめ気を付けておくべき点をまとめたいと思います。
株を持っていればいるほど損失が膨らむ
当たり前の話ですが、上げ相場では株を持っていればいるほど利益が膨らみ、下げ相場では逆のことが生じます。株をたくさん持っていればいるほど損失が膨らんでいきます。
したがって、下げ相場では株をあまり持たずにキャッシュを温存しておくのが鉄則です。
アグレッシブな方であれば、積極的に空売りを用いて利益を狙いにいくこともあるでしょうが、少なくとも下げ相場になったら株を持たないようにして、できるだけ損失を最小限に抑える必要があります。
ところが、個人投資家の多くは、下げ相場になっても株を売らずにそのまま保有してしまうケースが非常に多いです。
例えば成長株は昨年秋ごろからかなり弱い動きになっていますが、それでも保有株を我慢して持ち続けた結果、多額の含み損を抱えた塩漬け株になってしまうことが後を絶ちません。
「下げ相場」と気づいたときにはもう手遅れの可能性が高い
なぜ多くの個人投資家が、株価が下がってもそのまま株を持ち続けているのでしょうか?
その理由はいくつかあると思いますが、根本的な原因として、「下げ相場になったことに気がついていないから」という点が大きいのではないかと筆者は思っています。
特に長期間続いた上げ相場から本格的な下げ相場に転じるタイミングが、極めて危険であると感じます。
なぜなら、上げ相場の間に訪れていた調整局面に我慢して保有株を売らずに持ち続けた結果、株価は反発して再度順調に上昇する…という経験を何度も何度も繰り返しているからです。
そのため、本格的な下げ相場に入ってもしばらくは、今までと同様、「しばらく我慢して持っていればそのうち戻るだろう」と無意識のうちに思ってしまうのです。
ところが本格的な下げ相場に入ると、我慢して持っていればいるほど株価がどんどん下がります。「あれ?今までと違う!おかしい!!」と感じたころにはすでに株価は大きく下落していて、すでに手遅れとなってしまうのです。
最近の成長株の大きな下落にもかかわらず、個人投資家の多くが売れずに持ち続けてしまっているのは、まさにこの状況に陥っているからです。
手遅れにならないためにはどうすればよいか?
このように、「いつもとは違う!!」と気がついたころには手遅れになってしまうので、その前に対処しておかなければなりません。
そのために筆者が行っているのがまさに「移動平均線ルール」なのです。筆者は保有株が明確に25日移動平均線を割り込んだら売却しています。
実は25日移動平均線を割り込んだだけでは、それが本格的な下げ相場なのか、単なる一時的な調整局面なのかは分かりません。
でも、もし本格的な下げ相場の入口であったとしたら、25日移動平均線割れで売却することにより、下落の初期段階で保有株を売ることができます。その後本格的な下げ相場が実際に到来したとしても、すでに保有株は売却済みなので、損失を回避することができます。
逆に、単なる一時的な調整局面だったとしたら、再度株価は上昇に転じるでしょうから、その際に買い直せばよいのです。
このルールにより、本格的な下げ相場が到来したとしても、下落の初期段階で保有株を売却することができますし、単なる一時的な調整であったとしても、再び買い直すことで対応が可能です。
筆者の投資手法が「下げ相場にめっぽう強い」のは、下げ相場の初期段階で売却できるようなルールを決め、それを実行しているからなのです。
「上昇に転じた」兆しがあればひとまず乗ってみる
一方で難しいのが、仮に今が下げ相場だとして、いつ本格的な上げ相場に転じるのかも事前には分からないという点です。
おそらく何も意識していないと、下げ相場とは逆に、「気がついたらみんな大きく上昇していた」という状況になるまで気づくことができないと思います。
そのため筆者は、日々ウオッチしている投資候補銘柄の、株価のトレンドの動向に変化の兆しがないかをチェックしています。
具体的には、投資候補銘柄の中で、上昇トレンドの銘柄の割合と下降トレンドの銘柄の割合をみます。
もし下降トレンド銘柄が日々増えていて、上昇トレンド銘柄が日々減っているのであれば、まさに本格的な下げ相場の真っ只中なので、とにかく損失を最小化するため、投資額は小さくして守りに徹します。
逆に下降トレンド銘柄が減少に転じ、上昇トレンド銘柄が増加に転じているのであれば、強い銘柄から底打ち・上昇を果たしている可能性が高いため、上昇トレンドに転じた銘柄から順次買っていくようにします。
これにより、上げ相場に転じたときも、しっかりと株を買うことができるのです。
もちろん上げ相場に転じることなく、まさに今年に入ってからの日本株のように、再び株価が下落して下げ相場に戻ることもあります。そうなれば買った株は損切りとなってしまいますが、それは致し方ありません。
個人投資家の多くが気づいたころには、上げ相場も下げ相場もかなり進展しています。でも、そこから動いたのでは手遅れになる可能性が高いです。
しっかりと初期段階で動けるよう、ルールを設定し、それを実行し、上げ相場でも下げ相場でも対応できるようにしておきましょう。
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