(ご質問1)昨年、投資で利益が出ました。確定申告が必要でしょうか?

 いよいよ今年も確定申告シーズンになりました。株式投資の税金、確定申告した方がよいの? そもそもしなければいけないの? これってどうすれば? ……

 税理士でも自身で株式投資をしていなければよく分かっていない人も多い、株式投資に関する税金の取り扱い。今回と次回とで、皆さまから寄せられたご質問にお答えしていきます。

 取り上げるのは、いずれも「最低限これくらいは知っておかなくてはまずい!!」というものばかりですので、ぜひこの機会に学んでおいてくださいね。

 まずご質問1からです。

 投資で利益が出たという場合、それが「配当金」なのか「売却益」なのかにより扱いが異なります。まずは「配当金」から見ていきましょう。

配当金による利益の税金はどうすればよいの?

 配当金は受け取る際に20.315%の税金が源泉徴収(天引き)されていますので、何もしなくても税金面で問題になることはありません。

 一方、配当金は「総合課税」もしくは「申告分離課税」により確定申告することもできます。

 もし、配当金以外の所得がない、もしくは少ない方は、配当金につき総合課税で確定申告することで、天引きされていた税額が多すぎた場合、還付を受けることができます。

 また、配当金を受け取った年と同じ年に生じた売却損や、前年以前に生じた売却損の繰越損失と、配当金とを損益通算して、天引きされていた配当金の税金を取り戻すときは、申告分離課税で確定申告をします。

 このように、配当金の税金は「何もしない(すでに税金が天引きされている)」「総合課税により確定申告する」「申告分離課税により確定申告する」の3つから、ご自身にとって有利な方法を選択するようにしてください。

 なお、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座で受け取る配当金は、配当金の受け取り方法を株式数比例配分方式にしている場合は非課税ですが、それ以外だと課税されてしまいますので注意しましょう。

売却益の税金はどうする?

 もう1つの、売却益(譲渡益)が生じた場合の税金の取り扱いは、どの口座で保有していた株式なのかによって異なってきます。

  • NISA口座:売却益は非課税で、確定申告も不要です。
  • 一般口座:確定申告が必要です。
  • 源泉徴収なしの特定口座:確定申告が必要です。
  • 源泉徴収ありの特定口座:確定申告は不要ですが確定申告しても構いません。

 このように、一般口座もしくは源泉徴収なしの特定口座で生じた売却益は、原則として確定申告が必要です。

 一方、源泉徴収ありの特定口座で生じた売却益については、納税まで証券会社が済ませてくれているため、確定申告は不要です。

 ただ、同じ年に受け取った配当金や前年度からの繰越損失と損益通算するなどの理由で確定申告をした方が有利であれば、確定申告することもできます。

 なお、源泉徴収ありの特定口座で、かつ配当金の受け取り方法を株式数比例配分方式にしている場合は、同じ年に特定口座内で生じた売却損と配当金を、確定申告せずとも証券会社にて損益通算してくれますので便利です。

 また、会社員で給与所得しかなく、株式の売却益を含めた他の所得が20万円以内の場合など一定の条件を満たしたときは、所得税の確定申告は不要という特例があります。