帝人(3401・東証1部)

どんな銘柄?

 合成繊維の大手メーカーです。炭素繊維では世界第2位の位置づけ、世界で初めて熱可塑性炭素繊維複合材料の量産技術を確立しています。痛風治療薬などの医薬品、電子材料やリチウムイオン電池向けセパレータなども手掛けています。

 2017年1月には、自動車向け複合材料製品を展開する米Continental Structural Plastics Holdings Corporationを買収しました。配当性向は30%を目標としています。

業績見通し

 2022年3月期上半期営業利益は315億円で前年同期比1.2%増益となりました。通期計画は600億円で前期比9.2%増を見込んでいます。年間配当金は前期比5円増配となる55円を計画しています。

 第1四半期37.1%増益と比較して上半期増益率は縮小していますが、主因は複合材料製品を展開する米社の伸び悩みです。

 半導体不足による自動車減産の影響に加えて、原材料費や人件費上昇などのコストアップがかさんできているようです。販売価格への転嫁がいかに進んでいくかが今後の焦点となるでしょう。

ここがポイント

 昨年の株価は大幅なアンダーパフォームとなりました。複合成形材料を手掛ける米社の伸び悩みに加えて、痛風治療剤の国内特許切れによる来期・再来期の業績伸び悩みなどを織り込む動きとなったようです。

 ただ、PBRで0.7倍割れ水準にまで売り込まれ、当面の収益低成長はある程度織り込まれたとも考えられます。今後の自動車生産の正常化に加えて、新型コロナ感染一巡による航空機需要の回復期待などが高まる場面では、株価の見直し余地も大きくなると考えられます。

ケーズホールディングス(8282・東証1部)

どんな銘柄?

 家電量販店大手の一角です。デンコードーなども子会社に抱えます。北関東地盤に2021年9月末で525店舗を全国で展開しています。

 家電量販店業界内においては、収益性の高さが特徴となるほか、財務体質も良好であり、今期まで4期連続で自社株買いを実施しています。

 2021年10月には配送・工事業務を手掛けるサワハタキャリーサービスを買収、安定かつ効率的な体制構築を図っています。

業績見通し

 2022年3月期上半期営業利益は219億円で前年同期比30.7%の減益となっています。巣ごもり需要拡大などによる前年同期の高いハードルの反動に加えて、夏季の天候不順もエアコン販売などに影響したもようです。

 通期予想は445億円で前期比14.0%減益、期初から変更していませんが、足元の月次動向からみて、やや下振れ懸念が残ります。

 年間配当金は前期並みの40円計画となっています。

ここがポイント

 巣ごもり需要増の反動による既存店売上伸び悩み、東京五輪開催効果への期待一巡などもあって、足元の株価は低調な推移となっており、少なくても4月までは既存店の高いハードルが続きます。

 ただ、アナリストコンセンサスなどからみて新年度業績への期待感はすでに低下しており、2022年3月期決算発表に向けてはあく抜け期待などが高まりやすくなるでしょう。

 高い配当利回りに加えて、継続的な自社株買い実施を想定すれば、押し目買い局面は近いと判断されます。