短期的にリバウンド余地も、日本株の相対的なアウトパフォームは期待しにくい

 金融政策正常化に向けた動きの加速化懸念を背景に、2022年に入ってからはグロース株売り・バリュー株買いの流れが鮮明化しており、グロース株の動向が反映されやすい日経平均も調整基調を強めてきています。

 現在では、米国の年内利上げ回数は4回程度との織り込みも進んでいるため、いったんはあく抜け感が強まりやすい状況でしょう。

 1月26日にFOMCの結果発表がありますが、バランスシート縮小の早期化が意識されるなど、さらなる加速化への懸念が強まらない限りは、リバウンドに転じていく可能性もあるでしょう。

 ただ、実際に3月以降の利上げ局面に入った際の株価への影響は読み切れない面もあります。現状では押し目買いからの短期戻り売りスタンスが優位と感じられます。

 日本株に関しては、米国株の動向が引き続き大きく影響するとみられますが、相対的な株価パフォーマンスに関しては低調なものになると考えます。

 グローバル投資家が日本株に比重を置く可能性は低いとみます。今夏に参院選を控えることで、岸田政権では新型コロナウイルス感染抑制に政策の重きを置く公算のため、経済活動抑制策に対する警戒感などが目先は拭えないでしょう。

 また、株価動向次第では、参院選後に金融所得課税強化などの議論が高まる可能性も意識されるため、急騰場面では過熱警戒感なども高まりやすいといえます。

 ほか、北京五輪を控える中国でも厳しいコロナ対策が行われており、短期的に中国経済指標の悪化要因となります。中国景気の動向も、米国株と比較した日本株のパフォーマンス悪化要因となるでしょう。

 今後1カ月間における、個別物色の最大の注目点は10-12月期の決算発表となります。2月決算の安川電機(6506)などは景気敏感株の先行指標となりますが、受注自体は好調だったものの、半導体不足などによる供給不安が警戒される形となっています。

 国内主要企業の決算も引き続き、半導体不足の影響、インフレによる材料費の上昇などが焦点となります。とりわけ、半導体調達不足の影響が期待通り解消されたのかなど、自動車株が最も注目されるとみられます。

 半導体関連に関しては、好調な需要状況は継続とみられますが、台湾TSMCの設備投資計画にポジティブな反応が限定的だったことが懸念材料です。ポジティブ材料への反応が鈍ってきている印象も受けます。

 海運や鉄鋼などのバリュー株は、ガイダンスが保守的となる懸念もありますが、そこで売られた場面は押し目買いの好機と捉えたいところです。食品や建設セクターなどはインフレによる原材料費上昇が決算に対してネガティブに影響してきそうです。