グロースからバリューへの資金シフト鮮明化で出遅れのバリュー株に注目

 年明け以降はグロース株売り・バリュー株買いの流れが強まっています。短期的にはグロース株の突っ込み警戒感もありますが、インフレ進行の沈静化は足元でもみられず、FRBのタカ派姿勢も日増しに強まっている印象です。

 こうしたなか、直近ではバリューの大型株と位置付けられる三菱重工(7011)が連日の上昇となるなど、グロース株売りの裏でバリュー株買いの動きも観測されています。

 昨年末の株価はコロナ・ショック急落時とほぼ同水準など、主力株の中では極めて出遅れ感も意識されていた銘柄であり、バリュー株の出遅れとして注目されたものとみられます。

 バリュー株と位置付けられる高配当利回り銘柄の中でも、出遅れ銘柄には循環物色の動きが強まる可能性もあるでしょう。

 下表は、配当利回りが3.5%以上の高配当利回り銘柄の中で、比較的株価の出遅れ感が強いとみられる銘柄群になります。基準日はコロナ・ショックによる株価急落時、2020年3月19日としています。

 この期間、日経平均は約7割の上昇となっています。表中の銘柄はこの上昇に全く乗れていない銘柄ということができます。

 また、よりバリュー色の強い銘柄として、PER(株価収益率)、PBRなどからの割安感も強い銘柄を選定しています。今後もグロースからバリューへの資金シフトが一段と進んだ場合、見直される余地の大きい銘柄と考えます。

株価に出遅れ感の残る高配当利回りのバリュー銘柄

コード 銘柄名 配当
利回り
株価 時価総額 株価
騰落率
PER PBR
9513 電源開発 5.02 1,495 2,737 -24.2 9.1 0.34
9508 九州電力 4.67 856 4,059 1.2 9.4 0.73
5711 三菱マテリアル 3.82 2,093 2,752 3.7 7.4 0.50
3401 帝人 3.72 1,479 2,928 -5.6 8.1 0.70
8282 ケーズHD 3.59 1,114 2,507 -11.5 3.6 0.84
注:配当利回り、株価騰落率の単位は%、時価総額の単位は億円。PER、PBRの単位は倍。株価は2022年1月14日終値、単位は円。
注:株価騰落率は2020年3月19日終値比。

銘柄選定の要件

  1. 予想配当利回りが3.5%以上(2022年1月14日終値ベース)
  2. 2020年3月19日終値比での株価騰落率が5%未満
  3. PBRが1倍未満
  4. PERが10倍未満
  5. 時価総額が1,000億円以上