電源開発(9513・東証1部)

どんな銘柄?

 全国に約100カ所の発電所を保有、運営して、国内電力会社などに販売しています。発電設備の出力は約1,800万kwとされています。発電設備約2,500万kwのうち、約3割が海外となっています。

 2004年に完全民営化を果たした企業となります。電源は石炭火力や水力が中心で、現在は、風力やバイオマスなど再生可能エネルギー電源の新規建設を積極化させています。大間原子力発電所の建設工事本格再開を目指しています。

業績見通し

 2022年3月期上半期経常利益は266億円で前年同期比44.9%減益となっています。また、通期予想は従来の500億円から410億円、前期比43.4%減に下方修正しています。

 火力の燃料費の増加や卸電力取引市場からの電力調達価格の上昇、一部発電所の設備トラブルの影響などが響く形になっています。

 年間配当金は据え置きで、前期比横ばいの75円を計画しています。

ここがポイント

 期間内の株価パフォーマンスは電力株の中でワースト2となっています。業績下方修正や石炭価格上昇の影響が警戒材料とされる形になっています。

 ただ、国内火力発電所の稼働正常化に伴い、2023年3月期の業績は回復する公算が大きく、それに伴う増配の可能性もあるとみられます。

 今期ベースでの配当利回り水準は電力セクターの中でも最も高く、バリュー株物色の流れ継続の中で、見直し局面も近づいていると判断します。全国2位の規模を誇る風力発電など、再生可能エネルギー事業の展開力も折に触れて注目されるでしょう。

九州電力(9508・東証1部)

どんな銘柄?

 九州地方に電力を供給する電力大手の一角です。グループでの年間総販売電力量は858kWhとなります。2021年3月現在の発電設備は190カ所で、ほか、九電みらいエナジーで手掛ける再エネ発電設備は27カ所(2021年3月時点)となっています。

 原子力発電所は川内原子力発電所で2基、玄海原子力発電所で2基が再稼働済みとなっています。再生エネルギーや原子力の活用によって、同社はゼロエミッション・FIT電源(固定価格買取制度で買い取られる電気をつくる再生可能エネルギー源)の比率が大手電力会社の中でも高くなっています。

業績見通し

 2022年3月期上半期経常利益は657億円で前期比20.3%減益となっています。燃料価格上昇による購入電力量の増加、原子力バックエンド費用の増加などが減益要因となりました。

 通期は700億円で前期比26.9%増益の予想となっています。1-3月期は前年同期が大幅な赤字であったため、通期では増益転換の見通しです。原子力発電所の稼働増による利益率の向上が寄与する格好です。

 年間配当金は前期比5円増配となる40円を計画しています。

ここがポイント

 期間中の株価パフォーマンスは電力セクターの中でも底堅い部類となりました。それでも、配当利回りは電力セクターの中で3番目に高水準となっています。

 国内の原発で稼働中の炉は9基ですが、そのうち4基は同社であり、燃料価格が上昇する中で、今後も競争の優位性が保たれるものとみられます。

 2023年3月期は、玄海原発の特定重大事故等対処施設の完成が期限に間に合わない可能性なども指摘されており、短期的な業績のリスク要因とはなりますが、脱炭素化に向けた動きが進んでいることも評価点で、セクター内では選別物色の対象になり得そうです。

三菱マテリアル(5711・東証1部)

どんな銘柄?

 非鉄金属業界の最大手企業、チリやカナダで銅鉱山の権益を保有しています。1トン=100ドルの変動で、8億円程度の経常利益変動要因になると試算されています。

 ほか、電子材料などの銅加工品、超硬工具、セメント、リサイクルなど、事業の多角化も進んでいます。伸銅品販売、超硬工具売上、セメント生産能力、家電リサイクル処理量などは国内でトップの実績を誇っています。

業績見通し

 2022年3月期上半期経常利益は382億円で、前年同期比2.3倍の水準となっています。上半期決算と同時に通期予想を修正しており、経常利益は従来の560億円から590億円、前期比32.5%増に上方修正しています。

 銅やパラジウムなど金属価格の上昇、半導体関連および自動車関連製品の販売数量増などが増益に寄与しました。

 年間配当金は前期比30円増の80円を計画していますが、一時的な収益増に対応する特別配当30円を含んでいます。

ここがポイント

 同期間における株価パフォーマンスは、非鉄市況の上昇を手掛かりに住友金属鉱山(5713)三井金属(5706)UACJ(5741)東邦亜鉛(5707)などが倍加したのに比べて、極めて低調な推移となっています。

 2020年3月期における大幅な特損計上などが尾を引いたほか、多角化分野の伸び悩みで業績変化率が相対的に限定的だったことが影響しました。

 ただ、2023年3月期は、市況反動安局面が想定されるため、他の非鉄大手との比較での業績の底堅さが意識されるとともに、出遅れ感に関心が向かう可能性も高いと考えられます。