火力発電において石炭比率が高い国ランキング

 天然ガスを積極的に使用するムード(≒石炭を使用することを否定するムード)が強まると、これまで火力発電の分野において石炭を多用していた国々が、天然ガスにシフトする可能性があります。

 以下は、火力発電において石炭のシェアが高い国のランキングです。

図:火力発電における石炭消費の割合(70%超) (2021年9月時点)

出所:IEA(国際エネルギー機関)のデータより筆者作成

 IEA(国際エネルギー機関)のデータによれば、火力発電における石炭のシェアが70%を超える国は、8つあります。そのうち、全体に占める火力発電の割合が50%を超える国は6つあります。発電量が世界屈指のインド、中国、再生可能エネルギー由来や原子力の割合が低い、東欧のセルビア、ポーランド、ブルガリアなどです。

 こうした国では、「脱炭素」推進のため、原発を新設したり、圧倒的な規模の再生可能エネルギー由来の発電施設を整備したりするまでの間、火力発電を継続させるため、その燃料を石炭から天然ガスにシフトする可能性があります。

 原発新設も圧倒的な規模の再生可能エネルギー由来の発電施設の整備も、非常に難易度が高いため、目先しばらくは、火力発電による発電を継続させることになるとみられ、その間、世界的な天然ガスの需要が増加する可能性があります。

 この点は、天然ガス価格を長期的に押し上げる要因になるとみられます。